[プロフィール]
氷室 セナ :
名称:氷室 セナ
年齢:17歳
大まかな性格:使命感に溢れている、ちょっと強引
戦闘方法:医療の知識を生かしたり、手持ちの武器を使ったり、装甲車に乗る。
スタンド:スカイハイ
【破壊力 - なし / スピード - なし / 射程距離 - 肉眼で届く範囲 / 持続力 - C / 精密動作性 - なし / 成長性 - なし】
心の通った生物を操る右腕に装着されたスタンド。
DISCで得た。
負けの許容:全然問題は無いです。
小目標:スタンドでやりたいことをやり切る
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ : 『地区Aで負傷者、ゾンビに襲われたと報告です』
[メイン] 氷室 セナ : 「わかりました、すぐに向かいます」
[メイン] 氷室 セナ : 鞄を背負い、車庫を開けて
[メイン] 氷室 セナ : 装甲車に跨るが、運転手はいない
[メイン] 氷室 セナ : 「…スカイハイ」
[メイン] スカイハイ : 彼女の右腕にカエルのような物が張り付くと
[メイン] スカイハイ : 突如バチンと音が鳴り、装甲車のエンジンがかかる
[メイン]
氷室 セナ :
「…出発します」
そのまま一人でに動く装甲車を走らせて
[メイン] 氷室 セナ : そのまま、酷く騒がしい夜の街を駆けていくのだった…
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ : 素早く街を奔る装甲車が一つ
[メイン] 氷室 セナ : 強固に張り付く一人を除いて、非常に乱暴な運転をそれでもこなす
[メイン] 氷室 セナ : 傍から見れば異常だが、速さのおかげでわからないといったところだ
[メイン] テネブレア :
[メイン] : そんな装甲車の前に、出る人影
[メイン] テネブレア :
[メイン] 氷室 セナ : 「ッ!?」
[メイン] 氷室 セナ : スパークが走り、ブレーキを掛ける
[メイン] 氷室 セナ : 「く…危ない」
[メイン] テネブレア : 私に後一歩で、という位置で止まる目の前の装甲車。
[メイン] 氷室 セナ : 「車道を歩くのは危険ですよ、すぐ歩道に戻ってください」
[メイン] テネブレア : 「……危ないわね〜☆」
[メイン] 氷室 セナ : 「こちらは緊急車両です、そうで無くとも夜の車道は危険です」
[メイン] 氷室 セナ : もう一度またがり
[メイン] テネブレア : 「うん…決めた。」
[メイン] 氷室 セナ : 「…?」
[メイン] テネブレア : 「あなたが良さそうだわ」
[メイン] テネブレア : 「私はテネブレア。貴方は?」
[メイン] 氷室 セナ : 「…」
[メイン] 氷室 セナ : 「氷室セナ」
[メイン] 氷室 セナ : 「ではさようなら、急ぎですので」
[メイン] テネブレア : 「セナちゃん………ねぇ?貴方」
[メイン] 氷室 セナ : 「…?」
[メイン] テネブレア : 「私とお友達にならないかしら?」
[メイン] 氷室 セナ : 「…何かの勧誘ですか?」
[メイン] 氷室 セナ : 「見ての通り、私は急ぎです」
[メイン] テネブレア : 「勧誘じゃないわ、純粋な興味よ」
[メイン] テネブレア : 「じゃあ、私も乗せていってもらおうかしら?」
[メイン] 氷室 セナ : 「…行き先が違います、救急車両はタクシーではありません」
[メイン] 氷室 セナ : 「これから怪我人の搬送に向かいますので」
[メイン] テネブレア : 「私なら怪我人も一瞬で直せるわよ〜?」
[メイン] 氷室 セナ : 「……?」
[メイン] 氷室 セナ : 「…生憎、医療的なオカルトは職務上大っぴらに関わるのは許されませんが」
[メイン] テネブレア : 「そういう類じゃないのだけれど〜☆」
[メイン] テネブレア : 私はそう言って、運転手の居ない装甲車の助手席に座る。
[メイン] 氷室 セナ : 「…兎も角、怪しい為…」
[メイン] テネブレア : 「あら、広いのね。」
[メイン] 氷室 セナ : 「……降りてください、行く先は危険です」
[メイン] テネブレア : 「実力で降ろしてみるかしら?」
[メイン] 氷室 セナ : 「……」
[メイン] 氷室 セナ : 「いいでしょう」
[メイン] 氷室 セナ : 一旦離れて
[メイン]
氷室 セナ :
「怪我人を一人追加」
無線機に
[メイン]
氷室 セナ :
「……これであれば、乗ってもいい」
そのまま無線機を掲げて
[メイン] 氷室 セナ : その手には
[メイン] スカイハイ : いつの間にか、奇妙な生物が
[メイン] 氷室 セナ : 「命令、スパーク…対象を気絶させてください」
[メイン] 氷室 セナ : そう命じると
[メイン] 氷室 セナ : 無線機の中、車両の節々から
[メイン] ロレンチーニャ : 奇妙な形をした"虫"が出現する
[メイン] ロレンチーニャ : そして、素早く車全体に
[メイン] ロレンチーニャ : 小さく、電流を流す
[メイン]
テネブレア :
「…………っっ!」
自身の体に電流が流れる。
[メイン] 氷室 セナ : 「麻痺しましたか」
[メイン] 氷室 セナ : そのまま車に乗り入る
[メイン] テネブレア : 「あぁ…良いわねぇ……セナちゃん。貴方からの愛を感じるわ〜☆」
[メイン] 氷室 セナ : 「…」
[メイン] 氷室 セナ : 「スパーク」
[メイン] テネブレア : 「………」
[メイン] ロレンチーニャ : もう一発、今度はテネブレアに直接叩き込むためか
[メイン] ロレンチーニャ : 手先に群がる
[メイン] ロレンチーニャ : そして、ゼリー状の物質を発生させ再び電流を流す
[メイン]
テネブレア :
「…………っあああ………!」
自身の体が痺れる。今までにないくらい激しいものだ。
[メイン] 氷室 セナ : 「降りるか、怪我人になるか」
[メイン] 氷室 セナ : 「早く決めてください」
[メイン] テネブレア : 「……もうこれは立派な怪我人じゃないかしら〜?セナちゃん?」
[メイン] 氷室 セナ : 「そうですか」
[メイン] 氷室 セナ : そのまま、椅子を蹴り上げて後ろのベッドに突っ込もうとする
[メイン] テネブレア : 抵抗しないで、ベッドに突っ込まれる。
[メイン] 氷室 セナ : 「出発します」
[メイン] 氷室 セナ : そのまま車の横に
[メイン] テネブレア : 「思ったより強引な子ね〜貴方…」
[メイン] ロレンチーニャ : 虫もまた、車の機材に入り込む
[メイン] 氷室 セナ : 「公務執行妨害相手ならこんなものです」
[メイン] 氷室 セナ : 「では」
[メイン] ロレンチーニャ : 規則正しい電圧で車両を起動
[メイン] 氷室 セナ : そのまま、現場に向かって走り出す
[メイン] テネブレア : 「あ〜このベッド思ったより快適ね〜」
[メイン] テネブレア : 「よく眠れそうだわ〜セナちゃん…」
[メイン] 氷室 セナ : 「怪我人は寝ててください」
[メイン] 氷室 セナ : しかし特に配慮は無く、激しい運転で
[メイン] 氷室 セナ : ガタガタと、装甲車は夜の闇に消えていくのだった
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン2] 氷室 セナ :
[メイン2] 氷室 セナ : ガードレールをぶっ飛ばして、装甲車が現場に疾走する
[メイン2] 氷室 セナ : タイヤを鳴らして、異常の現場に今到着する
[メイン2] 氷室 セナ : 「…ん?」
[メイン2] 氷室 セナ : 現場から逃げるように走る人影を捉える
[メイン2] テネブレア : 「ちょっと〜随分と荒い運転だったわよ〜」
[メイン2] 神原駿河 : 何かから逃げるような動きで、全力疾走しながら装甲車目掛けて走ってくる
[メイン2] 氷室 セナ : 「自己責任ですっと…」
[メイン2] 神原駿河 : 「すいませんっ!!今、童女……“ゾンビ”に殺されかけて……助けてください!!」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…"ゾンビ"」
[メイン2] 氷室 セナ : ドリフトし、装甲車を停める
[メイン2] 氷室 セナ : 「すいません、今ゾンビと?」
[メイン2] 神原駿河 : 「は、はい!」
[メイン2] 氷室 セナ : 「成程」
[メイン2] 氷室 セナ : 「怪我人は」
[メイン2]
神原駿河 :
「動く死骸、キョンシー、リビングデッド!」
「怪我人は、私だけです!」
[メイン2] 氷室 セナ : 「そうですか、では車両に乗ってください搬送します」
[メイン2] テネブレア : 「私も怪我人でーす☆」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ゾンビは私が対処します」
[メイン2] 氷室 セナ : 車から飛び降りて
[メイン2] 神原駿河 : 「……え」
[メイン2] 神原駿河 : 「若い…」
[メイン2] 氷室 セナ : 「スカイハイ」
[メイン2] ロレンチーニャ : 車両は無人のまま、動き出した
[メイン2] 氷室 セナ : 「最寄りの病院に運びます、私はこちらで動きますので」
[メイン2] 神原駿河 : 「あ、ありがとうございます……けど、一緒に逃げた方がいいのでは…?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「仕事ですので」
[メイン2] 神原駿河 : 「それに、貴女はゾンビの外見を知らないでしょうし……」
[メイン2] 氷室 セナ : 鞄を漁ると
[メイン2] 氷室 セナ : ちらりと、"SPW"のロゴと
[メイン2] 神原駿河 : (……SPW……スピードワゴン、あの財団!?)
[メイン2] 氷室 セナ : 単発先の擲弾筒を取り出して
[メイン2] 氷室 セナ : 「では」
[メイン2] 氷室 セナ : そのまま現場に走り出す
[メイン2] 神原駿河 : ……まずい、大した事情も話せず見送ってしまった!
[メイン2] テネブレア : 「よいしょっ…と」
[メイン2] 神原駿河 : 相手は……“牙”と同じ武器を使う相手、それを説明し損ねた……なら
[メイン2] テネブレア : 装甲車から降り、見知らぬ女性を見る。
[メイン2] 神原駿河 : 「……あ、初めまして」
[メイン2] テネブレア : 「どうも〜☆怪我人のテネブレアです☆」
[メイン2] 神原駿河 : 「神原駿河、です」
[メイン2] テネブレア : 「現役女子高生ではないけどよろしくね〜☆駿河ちゃん☆」
[メイン2] 神原駿河 : 「…?」
[メイン2] 神原駿河 : 「ええ、どうも……」
[メイン2] テネブレア : 「それで〜貴方は今行ったセナちゃんを助けにでも戻るの〜?」
[メイン2] 神原駿河 : 「───ッ!」
[メイン2]
神原駿河 :
「そうだった!!」
勢いよく車から飛び降りると、セナを追って走り出す
[メイン2] 神原駿河 : 「すいません、テネブレアさんっ!病院には後で説明しておいてください!!」
[メイン2] テネブレア : 「あ〜待って〜って…」
[メイン2] テネブレア : 「行っちゃった。私も追いかけないとな〜待っててね〜セナちゃん☆」
[メイン2] 氷室 セナ :
[メイン2] 氷室 セナ :
[メイン2] 氷室 セナ : 素早く走り、入れ替わりでその現場に
[メイン2] 氷室 セナ : 周囲をちらりと見まわしつつ、目的の"ゾンビ"を探す
[メイン2] 氷室 セナ : 「隠れている…?」
[メイン2] ロレンチーニャ : 周囲のロレンチーニャが索敵として見回る
[メイン2] 氷室 セナ : 「…やはり見つからない、か」
[メイン2] 氷室 セナ : 生体電流を参考に索敵させても、ゾンビともなれば
[メイン2] 氷室 セナ : 生きていない器官には電気は流れていないのだ
[メイン2] 氷室 セナ : 「…この目で確認するしかないか」
[メイン2] 神原駿河 : 地面を軽く蹴飛ばすように、跳ねるようなスピードで走り寄ってくる
[メイン2] 神原駿河 : 「し、失礼!」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…」
[メイン2] 神原駿河 : 「先程、言い損ねた事があり、追いかけてきました!」
[メイン2] 氷室 セナ : 「搬送していたのですが」
[メイン2] 氷室 セナ : 「?」
[メイン2] 神原駿河 : 「相手は、見えない物を使って攻撃してくるみたいなんです」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…見えない物?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ふむ」
[メイン2]
神原駿河 :
「はい、ほら……」
左腕を差し出し、念じると…
[メイン2] 氷室 セナ : 「?」
[メイン2] 牙 : 「チュミミーン」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…!」
[メイン2] 氷室 セナ : 「成程…」
[メイン2] 氷室 セナ : 「"スタンド使い"でしたか」
[メイン2] 氷室 セナ : 溜息を一つ、成程
[メイン2] 神原駿河 : 「……ス、スタンド?灯りが、いるんですか?」
[メイン2] 氷室 セナ : ただの被害者では、無かっただけか
[メイン2] 氷室 セナ : 「いや」
[メイン2] 氷室 セナ : 「そのヴィジョンの通称です」
[メイン2] 氷室 セナ : 「私も持っているものです」
[メイン2]
神原駿河 :
「……この、小さいのが」
……でも、足無いよな
[メイン2] スカイハイ : 右手に、示すように
[メイン2] 牙 : チュミミーン、と鳴くとスカイハイに近づく
[メイン2] 牙 : ペチペチ触っている
[メイン2] スカイハイ : 生き物のようだが、生きてはいない
[メイン2] 氷室 セナ : 「相手も成程…」
[メイン2] 牙 : 寂しげに鳴くと、左腕の中に戻って行く
[メイン2] 氷室 セナ : 「"スタンド"による透明な力、と?」
[メイン2] 神原駿河 : 「は、はい!」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…わかった」
[メイン2] 氷室 セナ : 「貴方は下がってください、どちらにせよ」
[メイン2] 氷室 セナ : 「仕事に素人を混ぜるつもりはないので」
[メイン2] 氷室 セナ : スカイハイを掲げて
[メイン2] ロレンチーニャ : わらわら、虫が統率を取り
[メイン2] 氷室 セナ : 「周辺警戒」
[メイン2] 神原駿河 : 一歩下り、様子を見守る
[メイン2]
神原駿河 :
「……コレが、貴女のスタンドなんですか?」
「いっぱい、いるのですね」
[メイン2] ロレンチーニャ : 辺りの壁面に張り付き、放電する
[メイン2] 氷室 セナ : 「これらは生物です、スタンドではない」
[メイン2] 神原駿河 : 「……こんな生き物が、身近にいたのか」
[メイン2] 氷室 セナ : 「学名コーイレエレクトリカスロレンチーニャ」
[メイン2] 氷室 セナ : 「私はロレンチーニャと呼んでいる、まだ学界には出ていない新種の虫」
[メイン2] 氷室 セナ : 「餌は電磁波…故に群れを成すことで」
[メイン2] 氷室 セナ : セナ自身にはわからない、が
[メイン2] 氷室 セナ : 周囲には、レーダーのように目には見えない索敵網が発生している
[メイン2] 氷室 セナ : 「…さて」
[メイン2] 氷室 セナ : 「対象は、どこへ」
[メイン2] 氷室 セナ : 警戒を強めて、周囲を見回すのだった
[メイン2]
:
その時、ぴくん……と。
そのレーダーを突っ切るように駆けてくる透明ななにかが……神原の方向に。
[メイン2] 氷室 セナ : 「…怪我人」
[メイン2] 氷室 セナ : 「左に躱して」
[メイン2] 神原駿河 : 透明な何かの早さに気付かず、声に反射で従う
[メイン2] 氷室 セナ : M79擲弾筒を向けて
[メイン2] 氷室 セナ : 一発、榴弾が放たれる
[メイン2] 氷室 セナ : 「…視界に映らない、だけじゃない」
[メイン2] 氷室 セナ : 「透明な"存在"…!」
[メイン2] : 腹部にぶん、と迸る……悪寒のような風圧。
[メイン2] 神原駿河 : 「なっ──!?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「当たらないか…!」
[メイン2] 氷室 セナ : 透明な敵に、正確な狙いは出来ない
[メイン2] 氷室 セナ : すり抜けた榴弾が、後方で炸裂
[メイン2] : 「……」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…ッ」
[メイン2] 七七 : 「……そっち。するがのおともだちの、吸血鬼?」
[メイン2] 氷室 セナ : 静かに、砲弾を取り換える
[メイン2] 氷室 セナ : 「…!」
[メイン2] 氷室 セナ : 「声…成程」
[メイン2] 神原駿河 : 「七七…!!」
[メイン2]
七七 :
気付いた時には、その少女は二人の背後で……浮いている。
まるで、何かに腰掛けているように。
[メイン2] 氷室 セナ : 「貴女が"ゾンビ"ですか?」
[メイン2] 神原駿河 : ……振り向いてから、寒気が走る
[メイン2] 七七 : 「……」
[メイン2] 七七 : 「キョンシーだ。」
[メイン2] 氷室 セナ : 「キョンシー」
[メイン2] 氷室 セナ : 「成程、把握しました」
[メイン2] 神原駿河 : 「……中華風の呼び名、なのか?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「同地域の事案でそう呼称された記憶はあります」
[メイン2] 氷室 セナ : 「では、貴女…いや」
[メイン2] 氷室 セナ : 「先ほどに倣えば、七七でしたか」
[メイン2]
七七 :
「七七。」
こくんと
[メイン2]
神原駿河 :
「……」
コクリと頷いて
[メイン2] 氷室 セナ : 「…言ってましたね」
[メイン2] 氷室 セナ : 「確か、ゾンビだと」
[メイン2] 氷室 セナ : 神原を見る
[メイン2] 氷室 セナ : 「彼女がそれで相違は無く?」
[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…」
[メイン2] 七七 : 「……」
[メイン2] 氷室 セナ : 瞳は冷めている、それは仕事だからだ
[メイン2] 神原駿河 : 「手に、ウジが這っていた。それに……」
[メイン2] 氷室 セナ : 医療班であると同時に、屍鬼と何度か対峙したが…
[メイン2] 氷室 セナ : 「…?」
[メイン2] 神原駿河 : 「死臭がする、凄く、わかりやすく」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ウジが?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…死臭?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…」
[メイン2] 氷室 セナ : 「認識を改める、任務目標を変更」
[メイン2]
七七 :
「……ねえ。」
「……そっちの、あなたも。私を殺しに来たの?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…その話は本当ですね?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「いいや」
[メイン2] 氷室 セナ : 「対象"七七"」
[メイン2] 氷室 セナ : 「私は貴女を『確保』する」
[メイン2] 氷室 セナ : スカイハイを掲げて
[メイン2] 七七 : 「……」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ロレンチーニャ」
[メイン2] ロレンチーニャ : レーダーの陣形を崩して
[メイン2] 神原駿河 : 「──!」
[メイン2] ロレンチーニャ : 七七に取り付こうと飛びかかる
[メイン2] 氷室 セナ : 「死体の確保は」
[メイン2] 氷室 セナ : 「医療班の仕事なので」
[メイン2] 氷室 セナ : その語気は、先ほどより強い
[メイン2] 神原駿河 : 死体、と聞き表情が曇る
[メイン2] 七七 : 「……あなたは、いい人じゃない。」
[メイン2] 七七 : すとん、と。そのまま地面に落下し、追撃をかわす。
[メイン2] 氷室 セナ : 「そうですか」
[メイン2] 氷室 セナ : 「攻勢陣形」
[メイン2] ロレンチーニャ : そのまま、一匹を先頭に
[メイン2] ロレンチーニャ : 数十匹が円を描くように並ぶと
[メイン2] 神原駿河 : 「……すごい、まるで軍隊みたいにあの女の人に従っている」
[メイン2] ロレンチーニャ : テーザーガンのように電流を発生させる
[メイン2] 七七 : 「…………っ」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…効いていますか?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「効いていないのなら、他の手を取らせていただきます」
[メイン2] 七七 : 「……熱いのは、嫌い」
[メイン2] 神原駿河 : 「……まだ、手札があるのか」
[メイン2] 氷室 セナ : 「成程」
[メイン2] 七七 : 逃げるように転がり、その姿が再び見えなくなる。
[メイン2] 氷室 セナ : 「…索敵!」
[メイン2] ロレンチーニャ : 微粒な電磁波のレーダーをもう一度
[メイン2] ロレンチーニャ : しかし、すぐには情報は伝達しない
[メイン2] 神原駿河 : 「また、透明に──ッ!」
[メイン2] 氷室 セナ : 「やはり」
[メイン2] 氷室 セナ : 「成程、本当に死体だ」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ロレンチーニャの索敵で見つからないものは、無機物と"生きていない物"」
[メイン2] 氷室 セナ : 「自身の餌として、生物の生体電流に惹かれるはずのロレンチーニャが引き寄せられない…つまり」
[メイン2]
氷室 セナ :
ゾンビ
「"屍生人"じゃあないッ!」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ロレンチーニャ!陣形解除!」
[メイン2] : 「……」
[メイン2] : 「……来ないなら、こっちから行くけど。」と、声。
[メイン2] 氷室 セナ : 「…来る!」
[メイン2] : がりがりがりがり……と、地面が波打つ。
[メイン2] 氷室 セナ : 「ロレンチーニャ!」
[メイン2] ロレンチーニャ : 危険を感じる場所へ接近するが
[メイン2] 神原駿河 : 「これは……!?」
[メイン2] ロレンチーニャ : ロレンチーニャには直接的な戦闘力は無く、電気の流れ難いコンクリートには無力だ
[メイン2] 氷室 セナ : 「透明になり、生体電流もない」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…そろそろ手が少ないな…」
[メイン2] : 血に飢えた獣の、その虫もろとも猛進し噛みつこうとする気配。
[メイン2] 氷室 セナ : 「ッ!」
[メイン2] ロレンチーニャ : 突進にその身を砕かれる
[メイン2] 氷室 セナ : 「にわか仕立てです、が!」
[メイン2]
氷室 セナ :
「コォオオオ…」
深く呼吸を整える
[メイン2] 神原駿河 : この、音は
[メイン2] 氷室 セナ : 「本当に、屍生人なら、これで迎え撃ちましょうか」
[メイン2] : 「……!」
[メイン2] 神原駿河 : なんだ?まるで、谷底を吹き抜ける風のような不思議な音は…
[メイン2] 氷室 セナ : パチパチ、とか細いエネルギーが右手に
[メイン2] 神原駿河 : 音源へと目を向け、何を成すかを確認する
[メイン2] 氷室 セナ : 「…ロレンチーニャ!」
[メイン2] ロレンチーニャ : 何匹かが、その右手に
[メイン2]
氷室 セナ :
「"波紋"陣形!」
微かな電流を倍増させていく
[メイン2] 神原駿河 : ……まさか、あの手で殴る気なのか!?
[メイン2] : 「がアアアアアアアァァァッッッ!!!」
[メイン2] 神原駿河 : 「凄い、まるで電流が迸るような不思議な力が、セナさんの手に溢れているッ!」
[メイン2] 氷室 セナ : 微かに練られた生体電流を、更に倍増させる媒体としてロレンチーニャを扱い
[メイン2] 氷室 セナ : 「…ぐッ…」
[メイン2] 氷室 セナ : 「や、はり…」
[メイン2] 氷室 セナ : 「効ききっていない…」
[メイン2] 神原駿河 : 「……えっ!?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「っ、ゴホッ、ゴホッ」
[メイン2] 神原駿河 : 「だ、大丈夫ですか!?」
[メイン2] 氷室 セナ : 波紋が解けて、右手が焦げる
[メイン2] 氷室 セナ : 「…七、七さん、聞こえますか」
[メイン2] 神原駿河 : さっきの技、そんなに反動が強いのか…!?
[メイン2] : 「……」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…私はSPW財団の、氷室セナ」
[メイン2] 氷室 セナ : 「本来ならば、屍生人という"吸血鬼の眷属"を討伐するという役目で、此処に居ましたが」
[メイン2] 氷室 セナ : 「貴女は違う、死体のまま…生きていないと、私は推測します」
[メイン2] 神原駿河 : 「……え?」
[メイン2] : 「……」
[メイン2] 氷室 セナ : 「故に、敵ではなく」
[メイン2] 氷室 セナ : 「『患者』と判断したいと考えています」
[メイン2] 神原駿河 : 「な、何が…それに、患者?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「スタンドか、或いは別か…」
[メイン2] 氷室 セナ : 「貴女の事情を聞かせてほしい」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…そうで無いのなら、確保できるまで戦闘を続けます」
[メイン2] : 「……」
[メイン2] 神原駿河 : 「……七七ッ!!」
[メイン2] 神原駿河 : 「何か、事情が変わりつつあるらしい事を、今更愚かな私は理解した!!」
[メイン2] 氷室 セナ : 波紋は、生命のエネルギー…太陽の力
[メイン2] 氷室 セナ : 屍生人は吸血鬼の弱点であるそれに耐えうることは、無い
[メイン2] 神原駿河 : 「どうやら、ゾンビには種類があるらしい……私は、それを見誤っていた!!」
[メイン2] 氷室 セナ : しかし、相手は違う…理由は定かではない、が
[メイン2]
神原駿河 :
「ゾンビを殺す、といった際」
「君に爪を向けたのは……間違いだったようだ!!」
[メイン2] 神原駿河 : 勢いよく頭を地面に叩きつけ、謝罪の姿勢を取る
[メイン2] 氷室 セナ : 「…?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…兎も角、戦闘を続けるのなら…こっちも貴女も無事に終えません、間違いない」
[メイン2]
神原駿河 :
「すまなかった、私が間違っていた」
「間違った事をした、心の底からそう思う」
[メイン2] 神原駿河 : 「許してくれ、七七ちゃん。この通りだ」
[メイン2] : 「……」
[メイン2] : 立ち登る土煙の中から、表面が薄焦げた透明な犬のようなものが見える。
[メイン2] 氷室 セナ : 「…おや」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…これは」
[メイン2] 氷室 セナ : 「"違う死体"!?」
[メイン2] 七七 : 「…………」
[メイン2] 七七 : ゆったりと透明化を解除し……セナの背後から首元に向けていた剣を。
[メイン2] 氷室 セナ : 「…成程」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…貴女の、能力ですね」
[メイン2]
神原駿河 :
「……」
そのまま土下座の姿勢を続けている
[メイン2] 七七 : こくん、と。
[メイン2] 七七 : 「殺さないなら、いいよ」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…ええ」
[メイン2] 氷室 セナ : 「すいません、振り向いても構いませんか?」
[メイン2]
神原駿河 :
「ああ、殺さない。私は相手をずっと間違えていた」
「理由が無いし、資格もない、当然権利も有りはしない」
[メイン2]
神原駿河 :
「むしろ、殺されても仕方がない」
「本当にすまなかった」
[メイン2] 七七 : それに答えるように、短剣を収める。
[メイン2] 氷室 セナ : 「…」
[メイン2] 氷室 セナ : 振り返り
[メイン2] 氷室 セナ : 「成程」
[メイン2] 七七 : 「……ううん。七七も、するが、いい人でよかった。」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…腐敗臭、そして、生体電流も…無い」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…つまり、文字通りの死体であり」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…貴女が、動いているのは」
[メイン2] 氷室 セナ : 「一体、どういう原理でしょうか」
[メイン2]
七七 :
「……その『死体』は、やめて。七七、生きてる」
セナの方を一瞥し
[メイン2] 氷室 セナ : 「…失敬」
[メイン2] 神原駿河 : 額の血を左腕で拭うと、起き上がる
[メイン2] 氷室 セナ : 「七七さん、で行きましょう」
[メイン2] 七七 : こくん。
[メイン2] 氷室 セナ : 「…ふむ」
[メイン2] 七七 : 「……するがも、ごめん。疑って」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…すこし、探ってもよろしいですか?」
[メイン2] 氷室 セナ : ずっと考え込むようにしている
[メイン2] 七七 : きしきしという音を立てながら、神原にお辞儀を。
[メイン2] 七七 : 「……?」
[メイン2] 神原駿河 : 逆に謝られてしま気まずそうに頬を掻く
[メイン2] 氷室 セナ : 「…単刀直入に」
[メイン2] 氷室 セナ : 「貴女が動いているのは、スタンドの効果で?」
[メイン2] 氷室 セナ : …実を言えば、事例だけは聞いたことがある
[メイン2] 氷室 セナ : 過去、"正義"の名を冠したスタンドでは
[メイン2] 氷室 セナ : 死体をスタンドで操っていた、という話が合った
[メイン2] 七七 : 「……?」
[メイン2] 七七 : 「……灯り、いるの?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…」
[メイン2] 神原駿河 : まずい、勘違いが被った
[メイン2] 氷室 セナ : 「いや」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…このような、力です」
[メイン2] 氷室 セナ : 右腕を出し
[メイン2] 神原駿河 : 若干の親しみを抱きつつ、同じく左腕を差し出す
[メイン2] スカイハイ : すっと、そこにスカイハイの姿を
[メイン2] 七七 : 「……!」
[メイン2] 牙 : 「チュミミーン」
[メイン2] 氷室 セナ : 「先ほど、透明になる力も」
[メイン2] 神原駿河 : 「見える、だろうか?」
[メイン2] 七七 : 「……かわいい。生きてるの?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「私の推測では、このような物によるのかと」
[メイン2] 牙 : 「チュミミーン♪」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…ある意味では生きていると言えます」
[メイン2] 神原駿河 : 「恐らく、生きている」
[メイン2] 神原駿河 : 「出しっぱなしにしていると物を勝手に運んだりしているが……ひまわりの種とかをやっても食べたりはしない」
[メイン2] 氷室 セナ : 「スタンド、というのは」
[メイン2] 氷室 セナ : 「私達の魂の分身と、言われています」
[メイン2] 神原駿河 : 「……魂?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「それらが力を持ち、エネルギーを伴い飛び出すヴィジョン」
[メイン2] 氷室 セナ : 「故にその全ては違う姿と力を」
[メイン2] 神原駿河 : 「……なるほど」
[メイン2] 氷室 セナ : 「私の場合、先ほども見せた虫を操作するという力を」
[メイン2] 神原駿河 : 「この、デフォルメされたモグラのような姿が私の魂か……」
[メイン2] 氷室 セナ : 尤も、それを手にしたのは厳密にはDISCを介しているが
[メイン2]
神原駿河 :
「チュミミーン、とか私も鳴きたいんだろうか?」
左腕の上で跳ねるタスクへと目をやり
[メイン2] 氷室 セナ : 「恐らく、見えているということは」
[メイン2] 氷室 セナ : 「それが扱えるという証拠にもなる」
[メイン2]
七七 :
「……」
じっとそれらを眺める
[メイン2] 氷室 セナ : 「では、簡潔に」
[メイン2] 氷室 セナ : 「あの透明な姿と、透明な死体は貴女の力ですか?」
[メイン2] 七七 : 「うん。」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…成程」
[メイン2] 七七 : 「……七七のは、あんまりかわいくない。ヤマガラがよかった」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…ふむ」
[メイン2] 神原駿河 : 「ヤマガラ?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「鳥の名前ですね」
[メイン2] リンプ・ビズキット : うじゅうじゅと、指の上を這っているところを掲げられる。
[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、なるほど…」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…っと」
[メイン2] 神原駿河 : 「ッ!?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「……成る程」
[メイン2]
神原駿河 :
「……ひょっと、して」
「コレはスタンドだったのか…?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「………では」
[メイン2] 氷室 セナ : 「聞かせてください、もう一つ」
[メイン2] 七七 : 「たぶん。七七が起きた時から、ずっといる。」
[メイン2] 七七 : 「うん。」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…何故、ここに来ているのですか?」
[メイン2] 七七 : 「……あ。」
[メイン2] 氷室 セナ : 「差し支えなければ、私は貴女を施設に保護したいと考えています」
[メイン2] 神原駿河 : それを聞いたことが皮切りに、先程はずいぶん事故を起こしてしまった…
[メイン2] 氷室 セナ : 「スタンドの力で生きている、という事案は」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…改善すべき事ですから」
[メイン2] 七七 : 再びごそごそ、とポケットを探り。
[メイン2] 七七 : 「……」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…貴女を傷つけるつもりはない」
[メイン2] 七七 : 「『するが』?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「?」
[メイン2] 神原駿河 : 「……あー」
[メイン2] 神原駿河 : 「私の名前を覚えてくれた時の奴だな」
[メイン2] 七七 : こくん。
[メイン2] 七七 : 「こっちじゃなかった」
[メイン2] 七七 : 「『あかいいし』」
[メイン2]
神原駿河 :
「ああ、うん」
「それだな」
[メイン2] 氷室 セナ : 「あかい、いし?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…赤い石を」
[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、せんせい、とやらが探してきて欲しいと言っているようだ」
[メイン2]
氷室 セナ :
「何のために?」
視線が、鋭く
[メイン2] 七七 : 「えっと、そう。するがの言う通り」
[メイン2] 氷室 セナ : 「………」
[メイン2] 神原駿河 : 「……そこまでは、教えてもらっていないな」
[メイン2] 氷室 セナ : 赤い石、昔…任務の過程で聞いた
[メイン2] 氷室 セナ : 『エイジャの赤石』
[メイン2] 氷室 セナ : 「…成る程」
[メイン2] 氷室 セナ : 「それは、ここにあると、聞いているのですか?」
[メイン2] 七七 : 「うん。」
[メイン2] 七七 : 「先生、赤い石があったら、七七のことも、元通りって言ってた。」
[メイン2] 神原駿河 : 「……なるほど」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…わかった」
[メイン2] 氷室 セナ : 「では、こうしましょう」
[メイン2] 七七 : 「?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「仮に私が、貴女を元通りにすることに手を貸すと言えば、手を引きますか?」
[メイン2] 神原駿河 : 「ふむ、悪くない提案に聞こえるな」
[メイン2] 七七 : 「…………えっと」
[メイン2] 七七 : 「するが。こっちの人は?」
[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、えーっと…セナさんだ」
[メイン2] 七七 : 「せな」
[メイン2] 神原駿河 : 「そう、セナ。カタカナでいい」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…ああ、名乗りが遅れていましたか」
[メイン2] 氷室 セナ : 「セナ、氷室セナ」
[メイン2] 七七 : 「せな、せな」
[メイン2] 氷室 セナ : 「SPW財団医療班、及びエージェント」
[メイン2] 七七 : メモに書き足しながら。
[メイン2] 神原駿河 : 「……え、エージェントとはまた凄い言葉が」
[メイン2]
七七 :
「すぴーどわご……」
混乱しながら。
[メイン2] 氷室 セナ : 「すいません、焦らせましたね」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…ただの医者です」
[メイン2] 神原駿河 : 「……まあ、そっちは置いておいていい」
[メイン2] 氷室 セナ : 「それでいい、それ以外の肩書きは必要ない」
[メイン2] 七七 : 「おいしゃさん。先生と同じ?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「先生が、命を助ける人であるのならば」
[メイン2] 神原駿河 : ……『先生』とやらは医者なのか
[メイン2] 氷室 セナ : 「私の仲間、でしょう」
[メイン2] 七七 : 「……わからないけど、たぶん。」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…信じますよ」
[メイン2] 七七 : 「じゃあ、せなもいい人。」
[メイン2] 氷室 セナ : 「そして、一つ聞いてください」
[メイン2] 七七 : 「……?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「赤い石は、私の記憶の限りでは…命を助けるものではない」
[メイン2] 氷室 セナ : 「本当に、赤い石だけを探すと?」
[メイン2] 神原駿河 : 「……え」
[メイン2]
神原駿河 :
事実であれば、七七の先生は、この童女にウソをついたことになるのだろうか?
とすれば……何故?
[メイン2] 氷室 セナ : 「…いえ、語弊がありますね」
[メイン2] 氷室 セナ : 「厳密には、それだけでは赤い石は役に立たない」
[メイン2] 七七 : 「?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…石だけでは貴女を助けられないんです」
[メイン2] 氷室 セナ : 「それに…」
[メイン2] 氷室 セナ : ……患者を引き換えにして、探させる
[メイン2] 氷室 セナ : 幼いはず、なのにその様な行動は…
[メイン2] 氷室 セナ : 「……兎も角」
[メイン2] 氷室 セナ : 「もし貴女が良いなら、私にも医者として手を貸させて欲しい」
[メイン2] 氷室 セナ : 「先生の許諾、或いは契約があるのなら私に話させて欲しい」
[メイン2]
七七 :
「……えっと」
ひとつずつ、言葉を飲み込みながら。
[メイン2] 七七 : 「いいよ。」
[メイン2] 神原駿河 : 「軽いッ!?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…よし」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ありがとう、責任は取ります…あと」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…もう一つ聞かせてください」
[メイン2] 氷室 セナ : 「赤い石は、こんな形で?」
[メイン2] 氷室 セナ : バックから一枚
[メイン2] 七七 : 「なに?」
[メイン2] 七七 : 覗き込むように
[メイン2] 氷室 セナ : 古びた写真を出す
[メイン2] 氷室 セナ : それは、昔回収したもので
[メイン2] 氷室 セナ : 確かにスーパーエイジャのモノだ、仮面にはめ込まれた姿の
[メイン2]
七七 :
「……」
しばらく、じっと見つめて
[メイン2] 氷室 セナ : …出自はナチスドイツの検問資料である
[メイン2] 神原駿河 : 「……不気味な仮面だな」
[メイン2] 七七 : 「ううん…」
[メイン2] 神原駿河 : 昔見た、左腕と同じ嫌な雰囲気を感じる
[メイン2] 七七 : 「色は同じ。」
[メイン2] 氷室 セナ : 「色は同じ、と」
[メイン2] 神原駿河 : 「……なんだ、違ったのか」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…把握しました」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ありがとうございます、助かります」
[メイン2] 七七 : 「かおは、なかった。ネックレスみたい」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…ッ!」
[メイン2] 神原駿河 : 「ネックレスか」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ネックレス」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…ネックレス、か」
[メイン2] 神原駿河 : 「うむ、納得だ」
[メイン2] 氷室 セナ : ……ただの勘違い、だと思いたかった
[メイン2] 氷室 セナ : ……違う
[メイン2] 神原駿河 : 「こんな趣味の悪いものにくっついていると、ありがたい物には到底……」
[メイン2] 神原駿河 : 見えない、そう言いたかったが
[メイン2] 氷室 セナ : "ネックレス"は、スーパーエイジャの保管した姿だ
[メイン2] 氷室 セナ : 「……」
[メイン2] 氷室 セナ : 「わかりました」
[メイン2] 神原駿河 : ……表情から察するに、コレで正解らしい
[メイン2] 氷室 セナ : 「私は……」
[メイン2] 氷室 セナ : 「……いえ」
[メイン2] 氷室 セナ : 「七七さん」
[メイン2] 七七 : 「なに?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ついてきてください、あと……駿河さんも」
[メイン2] 神原駿河 : 「ああ、はい!」
[メイン2] 氷室 セナ : 「スタンド使いならば、SPW財団としても管轄になります」
[メイン2] 七七 : 「わかった。」
[メイン2] 七七 : 「するがも、きてくれるの?」
[メイン2] 神原駿河 : 「ああ」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ええ」
[メイン2] 神原駿河 : 「ゾンビの根源を探しにきたんだけれど、色々優先すべき事を先に片付けよう」
[メイン2] 氷室 セナ : 「……」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ゾンビ?」
[メイン2] 七七 : 「ん。うれしい」
[メイン2] 氷室 セナ : 「お待ちください」
[メイン2] 神原駿河 : 「?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「彼女は別、と?」
[メイン2] 七七 : 「どうしたの?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「……端的に言いましょう」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ゾンビは、我々の呼称で屍生人、という存在です」
[メイン2] 氷室 セナ : 「七七さんは、あくまで人間で…その認識の相違で報告されたと考えています、が」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…その屍生人自体も、居るのかと」
[メイン2] 神原駿河 : 「……厳密に言えば、私の故郷に“いた”」
[メイン2] 氷室 セナ : 「参考として、理性はなく」
[メイン2] 氷室 セナ : 「太陽にも弱い」
[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ、その“ゾンビ”だ」
[メイン2] 七七 : 「……七七も、お日さまはちょっと苦手。」
[メイン2] 氷室 セナ : 「最大の特徴として」
[メイン2] 神原駿河 : 「……」
[メイン2] 氷室 セナ : 「屍生人は、生物です」
[メイン2] 氷室 セナ : 「吸血鬼という存在が、自身の体内で抽出した成分により人間を変質させた生き物です」
[メイン2]
神原駿河 :
「一言一句、それで正解だ」
「私たちの街に現れたゾンビは、太陽で溶け、理性が無く、怪異でもない生き物だった」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…わかった、わかりました」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…そちらもいるのなら、話は別だ」
[メイン2] 七七 : 「にんげんじゃない、にんげん?」
[メイン2] 神原駿河 : 「…ああ」
[メイン2] 氷室 セナ : 「ええ、人間ではない」
[メイン2] 氷室 セナ : 「原理としては、脳の変質です」
[メイン2] 神原駿河 : 「人間を辞めてしまったんだ、無理やりか、自発的にかはわからないが」
[メイン2] 氷室 セナ : 「脳内で、特殊な変質を起こす事で」
[メイン2] 氷室 セナ : 「人体にも作用するほどのエネルギーを引き出す代わりに理性を崩します」
[メイン2] 七七 : 「……」
[メイン2] 氷室 セナ : 「それらは、吸血鬼であれ屍生人であれ」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…人でなく怪物になっている、という事です」
[メイン2] 神原駿河 : 「……ああ、そうらしい」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…兎も角、事態は把握しました」
[メイン2]
氷室 セナ :
「行きましょう、少々連絡事項が増えた…」
踵を返して
[メイン2] 七七 : 「……それが、七七たちの敵?」
[メイン2] 氷室 セナ : 「敵です」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…私の知る限り」
[メイン2] 七七 : 「……うん。わかった」
[メイン2] 氷室 セナ : 「…理性を保ち、人間だった屍生人はいない」
[メイン2] 氷室 セナ : 「吸血鬼で、あれ」
[メイン2] 神原駿河 : 「……恐ろしい物だな」
[メイン2] 氷室 セナ : そのまま、来た道を引き返す
[メイン2] 神原駿河 : 「七七ちゃん、私達もついて行こう」
[メイン2] 七七 : 「あ……うん。」
[メイン2] 七七 : くい、と神原にむかって手を伸ばす。
[メイン2] 七七 : 「……」
[メイン2] 七七 : 「……七七のこと、こわい?」
[メイン2]
神原駿河 :
「……少しだけな、言ってしまえば他人とは少なからず怖い」
だけれども、私は
[メイン2]
神原駿河 :
「だが、それを受け入れられるのが人間だ」
当然のように手を取り、繋ぐ
[メイン2] 七七 : 「……あ」
[メイン2] 七七 : その手の温もりが、まるで身体の奥底にまで伝わってくるように。
[メイン2]
神原駿河 :
「七七も、私を受け入れてくれただろう?」
「自分の領域に誰かを踏み入らせるのは勇気がいる」
「……人の怖さを知っているなら特にな」
[メイン2] 神原駿河 : 「改めて、お礼を言わせてもらおう」
[メイン2]
神原駿河 :
「ありがとう、七七。私を許してくれて」
[メイン2] 七七 : 「……」
[メイン2] 七七 : 「……七七、いろんなこと、わかんないけど」
[メイン2] 七七 : 「……するがなら、一緒にいても大丈夫。だと思う」
[メイン2] 神原駿河 : 「……なら、安心だ」
[メイン2] 七七 : 「……だから。ありがと、するが」
[メイン2] 七七 : ぴとり……と、苦手だったはずの熱を身体ごと求めるように。
[メイン2] 神原駿河 : 「……ふふ」
[メイン2]
神原駿河 :
「そりゃっ!」
勢いよく抱き抱えると、そのまま七七を背中に背負う
[メイン2] 七七 : 「わ!」
[メイン2] 神原駿河 : 「さあっ!セナさんを待たせるわけにも行かない」
[メイン2] 神原駿河 : 「私の背中にしっかり捕まっておくんだぞ…!」
[メイン2] 七七 : 「……うん!」
[メイン2] 神原駿河 : 勢いよく走り出す
[メイン2]
神原駿河 :
風景を置き去りに、一気に走り抜けて行く
手は背中に回して七七を支えているが、スピードに淀みはない
[メイン2] 神原駿河 :
[メイン2] 神原駿河 : 「それにしても、先程見た……『波紋』だったか、どこかで見たような…」
[メイン2] 神原駿河 :
[メイン2] 神原駿河 :
[メイン3] 氷室 セナ :
[メイン3] 氷室 セナ : 「……ん?」
[メイン3] テネブレア : 「…………………」
[メイン3] 氷室 セナ : おかしな、ものだった
[メイン3] : へたり込んでいる。幻影の王
[メイン3] 氷室 セナ : 何やらみたことある服装の中に…赤子?
[メイン3] 氷室 セナ : いや…違う
[メイン3] 氷室 セナ : 反応だけは赤子、だが
[メイン3] 氷室 セナ : 「…テネブレア?」
[メイン3] 氷室 セナ : 倒れ込む彼女の側に屈む
[メイン3] テネブレア : 「……………」
[メイン3] 氷室 セナ : 軽く触れてみるが、やはりおかしい
[メイン3] 氷室 セナ : 「怪我ですか?」
[メイン3] テネブレア : 「…………まま?……」
[メイン3] 氷室 セナ : 「え?」
[メイン3] テネブレア : 「ままー!!!」
[メイン3] テネブレア : セナに抱き着こうとする。
[メイン3] 氷室 セナ : 「っと」
[メイン3] 氷室 セナ : がっしり受け止める、患者を運ぶ経験も多いため揺るがない
[メイン3] テネブレア : 「ままっ……ままぁ……!!」
[メイン3] 氷室 セナ : 「ちょ…いや」
[メイン3] 氷室 セナ : 「……これは」
[メイン3] 氷室 セナ : 明らかにおかしい、反応もそうだが
[メイン3] テネブレア : 「うぇぇぇぇぇぇん!!!ままぁぁぁ!!!!」
[メイン3] 氷室 セナ : 先ほど出会った時よりも、明らかな精神力の朧さを感じる
[メイン3] 氷室 セナ : 「っ…もう、大丈夫です、私が来ましたから」
[メイン3] 氷室 セナ : 「よくわかりませんが、わかりました」
[メイン3] テネブレア : 「ままっ!!!ままっ………う…っぐす……」
[メイン3]
氷室 セナ :
「貴女も『患者』に…なりましたか」
瞳を鋭く、そのまま抱き上げて
[メイン3] 氷室 セナ : 「はいはい…困りましたが、これも仕事です」
[メイン3] 氷室 セナ : …こちらの事案も、聞いた事がある
[メイン3] テネブレア : 「ままぁ………」
[メイン3] 氷室 セナ : 列車での集団老化事案、スタンドによるもの
[メイン3] 氷室 セナ : 「…何故母親に認識されてるかはわかりませんが」
[メイン3] 氷室 セナ : 「記憶も年相応ならば、恐らく刷り込みに近しい、か?」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…兎も角、今は急患になる」
[メイン3] 氷室 セナ : 抱き抱えつつ、歩き出す
[メイン3] テネブレア : 「うぇえええん!ままぁ……」
[メイン3] : セナと一緒に歩き出す。
[メイン3] 氷室 セナ : 「…何故泣いているのですか」
[メイン3] 氷室 セナ : 「空腹?或いは怪我でしょうか」
[メイン3] 神原駿河 : カツン、カツンと七七を背負い歩いてくる
[メイン3] 氷室 セナ : 「…おや」
[メイン3] 神原駿河 : 「あ、セナさん!」
[メイン3] テネブレア : 「ままぁ………!」
[メイン3] 神原駿河 : 「……まま?」
[メイン3] 七七 : 「……まま?」
[メイン3] 神原駿河 : 「……」
[メイン3] 氷室 セナ : 「恐らくスタンドの襲撃を受けた様です」
[メイン3] 神原駿河 : 「……あ、ああ」
[メイン3] 七七 : 抱き抱えられたまま、ひょこりと神原の背中から顔を覗かせる。
[メイン3] 氷室 セナ : 「彼女の精神が退行し、明らかに記憶も喪失している」
[メイン3] 神原駿河 : 「なるほど、うん、流石にそうだよな」
[メイン3] 神原駿河 : 一歩引きかけた足を、元の場所に戻す
[メイン3] 七七 : 「せなは、ままなの?」
[メイン3] 神原駿河 : 「いや、てっきり私は…」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…今は少し、何故困っているかの推測に困っている所です」
[メイン3] 氷室 セナ : 「いえ…私は17歳、まだ未成年です」
[メイン3] テネブレア : 「ままぁっ!!!!!!」
[メイン3] 氷室 セナ : 「ああはい…どうかしましたか?」
[メイン3] 神原駿河 : 「ああ、いや……いわゆる“プレイ”かと」
[メイン3] 氷室 セナ : 「……」
[メイン3] 七七 : 「……?」
[メイン3] ロレンチーニャ : 電撃を軽くぶつける
[メイン3] 神原駿河 : 「ガッファァァ!?」
[メイン3] 神原駿河 : 七七を咄嗟に離して一人で痺れる
[メイン3] 七七 : 「う。」
[メイン3] テネブレア : 「きゃっきゃっ!」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…まったく」
[メイン3] 氷室 セナ : 「私に対しては良いとしても、患者に偏見を向けるのはよくない」
[メイン3] 氷室 セナ : 「障害はあくまで障害です」
[メイン3] 神原駿河 : 「そ、そうれふね…」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…テネブレアもこのまま搬送します」
[メイン3] テネブレア : 「まま……?」
[メイン3] 氷室 セナ : 「スタンドの効果であれば、何かしら解消は可能…な筈ですから」
[メイン3] 七七 : 「……するが。この人も、おともだち?」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…はい、行きますよ」
[メイン3] 氷室 セナ : 仕方ないと言わんばかりに息を吐いて
[メイン3] 神原駿河 : 「多分、そうは」
[メイン3] 氷室 セナ : そのままテネブレアを抱き抱えて進む
[メイン3] 神原駿河 : 電撃で舌足らずになった口調で答える
[メイン3] テネブレア : 「ままぁぁ…………」
[メイン3] 七七 : 「……わかった。するがのおともだち、変な人、多い。覚えた」
[メイン3] 氷室 セナ : 「……」
[メイン3] 神原駿河 : 「否定はしない」
[メイン3] 氷室 セナ : らしくなく困った様にしつつ
[メイン3] 神原駿河 : 「何故なら、類は友を呼ぶからだ」
[メイン3] 七七 : 「……あ。」
[メイン3] 七七 : 「……しまった。七七も、変な人になってしまう」
[メイン3] テネブレア : 「……………?」
[メイン3] 神原駿河 : 「……まあ、それはそれとして」
[メイン3] 神原駿河 : スクリと立ち上がる
[メイン3] 氷室 セナ : 「…ほら、行きますよ」
[メイン3] 氷室 セナ : 「これ以上被害者が増えても困る」
[メイン3]
神原駿河 :
「あ、ああ……」
七七をもう一度おんぶすると、セナの横に並ぶ
[メイン3] テネブレア : 「ままぁ…!だいすきぃ………」
[メイン3] 神原駿河 : 「………ふむ」
[メイン3]
氷室 セナ :
「…」
困ったような顔
[メイン3] 神原駿河 : 「病人に言うことではないが、誰かに全力で甘えられるには羨ましいかもしれない」
[メイン3]
七七 :
「……ん。」
背負われて少し嬉しそうに
[メイン3] 七七 : 「……七七たちも、手伝える?」
[メイン3] 神原駿河 : 「赤ん坊の世話は家族総出でするらしい、何か手伝ってあげられるかもな」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…まあ」
[メイン3] 氷室 セナ : 「そういうのは別の専門なので助言は貰います」
[メイン3] テネブレア : 「ままぁ……すぅ…すぅ……」
[メイン3] 氷室 セナ : そのまま、テネブレアを抱えてて歩いて行く
[メイン3]
神原駿河 :
「……ふむ、折角だ」
「寝る子を起こさぬ内に質問をさせていただこう」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…はい?」
[メイン3] 七七 : 神原の後ろからじっとセナを見つめる。
[メイン3] 神原駿河 : 「いやな、先程貴女が地面に放った技がずっと気になっていたのだ」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…ああ、波紋ですか」
[メイン3] 神原駿河 : 「あの息遣い、明らかに尋常の物ではなかった」
[メイン3] 氷室 セナ : 「あれは…見よう見まね、ですよ」
[メイン3] 神原駿河 : 「どういう『技術』なのだろうか?」
[メイン3] 氷室 セナ : 「昔、吸血鬼を打ち倒す為に作られた力」
[メイン3] 氷室 セナ : 「過去に、それを行う人と任務で出会い」
[メイン3] 氷室 セナ : 「真似をしていた…が、そうすぐには覚えない」
[メイン3] 神原駿河 : 「……ふむ、なるほど」
[メイン3] 氷室 セナ : 「それをカバーする為に、ロレンチーニャにその未熟な波紋を倍増してもらってる」
[メイン3] 氷室 セナ : 「屍生人を仕留めるなら、それで行けますから」
[メイン3] 神原駿河 : 「なるほど……そういった、技なのか…」
[メイン3] 氷室 セナ : 「尤も…私のは技術としては殆ど知らないのです」
[メイン3] 氷室 セナ : 「出会いの時の呼吸を、じっくり真似してただけで」
[メイン3] 神原駿河 : 「……なるほど」
[メイン3] 氷室 セナ : 「なので、あくまでにわか仕立てです」
[メイン3] 神原駿河 : 「そういった由来の技だったのか……」
[メイン3] 氷室 セナ : 「ええ」
[メイン3] 七七 : 「……七七も、受けてたらまずかった?」
[メイン3] 氷室 セナ : 「いや」
[メイン3] 神原駿河 : ……波紋、技術
[メイン3] 氷室 セナ : 「波紋は生命のエネルギー」
[メイン3] 神原駿河 : どうにも、頭に残る言葉だ
[メイン3] 氷室 セナ : 「恐らく、死体であるだけの貴女には効きません」
[メイン3] 氷室 セナ : 「まあ…生きてる人に打ち込むのもあまりよくないですが」
[メイン3] 七七 : 「……『死体』は、やめて。……でも、ちょっとだけよかったかも」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…っと、すいません」
[メイン3] 神原駿河 : 「……よかった?」
[メイン3] 神原駿河 : 「何か、身体に良い効果があるのだろうか?」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…まあ、生物にはあくまで意味のない手ですよ」
[メイン3] 七七 : 「うん。生きてたら、周りの七七にも、効いたかも」
[メイン3] 神原駿河 : 「……ふむ」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…ああ、まあ」
[メイン3] 氷室 セナ : 「私ほどじゃ、ビリビリするだけです」
[メイン3] 七七 : 「せな。……それ、するがも、がんばったらできる?」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…恐らく」
[メイン3] 氷室 セナ : 「ただ聞いた話では」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…年単位で修業を重ねるものだそうです」
[メイン3] 七七 : 「むう……」
[メイン3]
神原駿河 :
「……修行、か」
「やはり、少し似ているがスタンドとは全く異なるのだな」
[メイン3] 氷室 セナ : 「…ええ、別かと」
[メイン3]
神原駿河 :
……常識から外れながら
それでも、スタンド、魂の力とは異なる“技術”
[メイン3] 神原駿河 : 初めて見た時から、どうにもその衝撃が頭から離れない
[メイン3] 氷室 セナ : 「…いつか」
[メイン3]
神原駿河 :
まるで、引き寄せられる様に
興味が尽きないのだ
[メイン3] 氷室 セナ : 「財団の波紋戦士と会ってみると良いかと」
[メイン3] 氷室 セナ : 「私はあくまで医療班です」
[メイン3] 神原駿河 : 「…すごいな、あんな仙人みたいな技を、みんな習得してる集団がいるのか」
[メイン3] 氷室 セナ : 「今は少ないそうですがね」
[メイン3] 神原駿河 : 「物悲しいが、それも仕方がないか…」
[メイン3] 氷室 セナ : こくりと頷き
[メイン3] 七七 : 「……これが終わったら、するがも、練習してみる?」
[メイン3]
神原駿河 :
「……そうだな、今回みたいな事件があっても困る」
「真剣に練習を考えておこう」
[メイン3] 神原駿河 : ……ふむ
[メイン3] 神原駿河 : 思えば、“牙”も全く使いこなせていない
[メイン3] 神原駿河 : 結果的には良かったが、七七の時も、何もできていなかった…
[メイン3] 神原駿河 : ……セナさん達には世話になってばかりだ
[メイン3] 神原駿河 : もっと、強くあらねば
[メイン3]
神原駿河 :
『気高く、飢えるのだ』
かつてのように追われるのでは無く、正しく自分を磨く為に
[メイン3] 神原駿河 :
[メイン3] 神原駿河 :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ : 夜の街、喧騒も収まった…と思っていたのに
[メイン] 氷室 セナ : 異常なまでの破壊の後を、其処に感じる
[メイン]
神原駿河 :
「……こ、これは」
[メイン] 氷室 セナ : 「…スタンド使い、でしょう」
[メイン] 七七 : 「……」
[メイン] 氷室 セナ : 「おそらくは、相当な敵意を…いや無差別?」
[メイン] テネブレア : 「ん…うぅ………」
[メイン] 氷室 セナ : 「…テネブレア」
[メイン] テネブレア : 「ままぁ………おっぱい…………」
[メイン] 氷室 セナ : 「…ちょっと、勘弁してください」
[メイン] 氷室 セナ : 渋い顔をしつつ
[メイン] 神原駿河 : 「……粉ミルクとか、買っておいたが」
[メイン] 氷室 セナ : 「ああ、仕方ないですね…」
[メイン] 七七 : 「……するが。あっちむいとく?」
[メイン] 神原駿河 : 「いや、おっぱいは出ないようだ」
[メイン] 氷室 セナ : 「粉ミルク使いますよ…」
[メイン] 神原駿河 : 誠に残念ながら
[メイン] 氷室 セナ : 「お腹空いてますか…テネブレア」
[メイン] 神原駿河 : 遺憾ながら
[メイン] テネブレア : 「ままぁ…」
[メイン]
神原駿河 :
無しだ、OK?
[メイン]
氷室 セナ :
「…はぁ…」
どうしたもんかと思いつつ
[メイン] 神原駿河 : 何かに語りかけるように、カンバルは涙を飲んだ
[メイン] 氷室 セナ : 水筒に粉ミルクを混ぜて、ロレンチーニャで加熱させる
[メイン]
七七 :
「……」
その顔を不思議そうに覗き込む。
[メイン] 神原駿河 : そこら辺に座り込むと、石ころを回している
[メイン]
氷室 セナ :
「どうぞ、ほら」
テネブレアに飲ませる
[メイン] テネブレア : 「んっ……んっ……」
[メイン] 神原駿河 : 左腕に“牙”を展開して、その爪の回転に合わせて石ころを回す
[メイン] テネブレア : 「ままぁ……だいすきぃ………」
[メイン] 氷室 セナ : 「…はぁ」
[メイン] 氷室 セナ : そんな事をしつつ、道を歩いている
[メイン]
神原駿河 :
「……形が悪いな」
ガリガリとタスク、”牙“で石の形を変えていく
[メイン] 七七 : 「おお。」
[メイン] 神原駿河 : 「便利だ、もうハサミ要らずだな」
[メイン] 氷室 セナ : 「…おや」
[メイン] 神原駿河 : 綺麗にカットした石を七七にあげると、自分の分をもう一個削り出す
[メイン] 七七 : 大事そうに掲げてそれを眺める。
[メイン] 牙 : カットされた石の上で、ふわふわと空を見上げている
[メイン]
神原駿河 :
……何故だろうか、私のスタンドは
どうにも足りない様に見える
[メイン] 神原駿河 : こんな姿の物も少なくはないのだろうが……何か、不足している
[メイン] 神原駿河 : 「ッ…!」
[メイン] 氷室 セナ : 「…?」
[メイン] 神原駿河 : ……そう考えると、少し頭痛がした
[メイン] 氷室 セナ : 「…まあ、兎も角戻りましょう」
[メイン] 氷室 セナ : 「この攻撃の主人に会ったら大変だ」
[メイン] 神原駿河 : 「……そう、だな」
[メイン] テネブレア : 「ままぁ……」
[メイン] 神原駿河 : 「もう暗いし、そろそろ宿を取ろう」
[メイン]
七七 :
「……」
攻撃の爪痕を眺めつつ
[メイン] 氷室 セナ : 「私の施設で泊まれますよ」
[メイン] 神原駿河 : 「それはありがたい…!」
[メイン]
七七 :
「するが。いっしょに寝てもいい?」
くいくいと制服の裾を引っ張って
[メイン] 神原駿河 : 「勿論、ここら辺は危ないし……一緒の部屋で寝ることになるかもな」
[メイン]
:
───束の間の"平穏"
[メイン]
:
闇に溶け込むように、その平穏を軋ませ
そして踏み抜く存在が、ふわりと空へと浮かんでいた。
[メイン] 第三の少年 :
[メイン] 第三の少年 : 「…………」
[メイン] 氷室 セナ : 「…ッ!?」
[メイン] 氷室 セナ : 見上げて
[メイン] 神原駿河 : 「────ッ!?」
[メイン] 神原駿河 : 「な、なんだ!?」
[メイン] 氷室 セナ : そのまま、テネブレアを横に
[メイン] テネブレア : 「ままぁ…?」
[メイン] 神原駿河 : 「七七、私の後ろに!」
[メイン]
第三の少年 :
「───」
じっと、マスク越しでありながらも
視線を送っている事は、間違いなく。
[メイン]
七七 :
「……」
ぴょい、と。
[メイン] 氷室 セナ : 「テネブレア、静かに」
[メイン] 氷室 セナ : 「危ないので」
[メイン] テネブレア : 「ん………………」
[メイン] 神原駿河 : 「おいっ!そこの浮いてる君!」
[メイン]
第三の少年 :
「…………」
逆立った髪が靡き、マスクに緑色のハートマークの意匠が目立つ。
声をかけられても、反応したのか、していないのか。
[メイン] 神原駿河 : 「……私達から君を害するつもりはない!縄張りだというのならすぐ出て行く!」
[メイン] 氷室 セナ : 「…!」
[メイン] 氷室 セナ : 記憶に、ある
[メイン] 神原駿河 : 「だが、敵ならば容赦はできない!!」
[メイン] 氷室 セナ : この…この見た目は
[メイン]
第三の少年 :
「───……」
神原が、『敵ならば容赦はできない』───
[メイン] 氷室 セナ : 「…神原!」
[メイン] 神原駿河 : 爪弾を手に浮かばせ、相手に向ける
[メイン] : そう、言った途端である。
[メイン] 神原駿河 : 「な──」
[メイン]
ザ・ワールド :
ド
ウ
ゥン
[メイン] 七七 : 「……え」
[メイン] テネブレア : 「………………?」
[メイン] 氷室 セナ : 「っ!!」
[メイン] ザ・ワールド : それは───突如としてセナの眼前に現れる。
[メイン] 氷室 セナ : 「なッ…」
[メイン] ザ・ワールド : そして、その拳は空を切り裂き。
[メイン] 神原駿河 : 「────セナァァ!!!」
[メイン] 氷室 セナ : ロレンチーニャの警戒網が、捉えきれず
[メイン] : ドゥウンッッッ!!!
[メイン] 氷室 セナ : 「がッ、は」
[メイン]
:
華奢なその身体を、容赦なく───
ぶち抜いた。
[メイン] 神原駿河 : 爪弾を乱射して、金色のスタンドへ襲い掛からせる
[メイン] 氷室 セナ : そのまま、吹き飛ばされて
[メイン] ザ・ワールド :
[メイン] 七七 : 「………!!」
[メイン] テネブレア : 「ままっ!!!!ままぁっっっ!!!!!」」
[メイン]
ザ・ワールド :
乱射された次の瞬間。
その金色のスタンドは、少年の隣へと移動しており。
[メイン] 七七 : すぐに大地を揺らし、透明なそれたちと臨戦態勢に━━
[メイン] 氷室 セナ : ガチン、と
[メイン] 神原駿河 : 「────な」
[メイン] 氷室 セナ : 電灯にぶつかり、へし折って
[メイン] 神原駿河 : 「貴様ァァ!!一体何の真似だ!!!」
[メイン] 氷室 セナ : やっと、勢いがなくなり、落ちる
[メイン]
ザ・ワールド :
───避けた。
否、まるで平然と、当たり前のようにそこにいた。
[メイン] テネブレア : 「…っっ!!!!!ままぁ!!!ままああああああああ!!!!」
[メイン] 神原駿河 : 「唐突に、セナを……!!」
[メイン] 神原駿河 : 「何故だッ!?」
[メイン]
第三の少年 :
「…………!」
その時───
[メイン] 氷室 セナ : 「ッ、は、あ」
[メイン] 第三の少年 : 少年の髪色が、桃色へと変わる。
[メイン] 第三の少年 : 「……ママ」
[メイン] テネブレア : セナの元へと、駆け寄る。
[メイン] 神原駿河 : 「……は?」
[メイン]
第三の少年 :
「…………ママ?」
金色のスタンドが、突如として姿を消す。
[メイン] 氷室 セナ : 「…テ、ネブレア」
[メイン] 氷室 セナ : 左手を、腹に当てるが
[メイン]
七七 :
「…………」
宙に浮かぶそれを睨みつけたまま
[メイン] 氷室 セナ : …成る程、重傷…いや致命傷、か
[メイン] テネブレア : 「ままぁっっ!!!ままぁぁぁぁあああああああ!!!!」
[メイン] 神原駿河 : 「七七、テネブレアと一緒に逃げろ!!」
[メイン] 氷室 セナ : 「…大丈夫」
[メイン] 神原駿河 : 「アイツは……私がッ!!」
[メイン] 氷室 セナ : 右手を伸ばして、安心させようとすると
[メイン]
第三の少年 :
「ママ───
ママァアアアアアアアアァアァアアアアアアアア───!!!!!!」
瞬間、まるで"次元"を飛び越えてきたかのように
少年は───ゾンビの群れをどこからともなく。
[メイン] 氷室 セナ : よく見れば
[メイン] スカイハイ : スカイハイのヴィジョンが、薄れている
[メイン] 神原駿河 : 「────ナニィィイイイ!!???」
[メイン] ゾンビ : 「ウオオオ ウオオオオオオオ───z___!!!」
[メイン] 七七 : 「……せな……!」
[メイン] 氷室 セナ : 「…ッ、く」
[メイン] 神原駿河 : 「くっ……“牙”ァァ!!」
[メイン] テネブレア : 「ままぁぁぁ……!!ままっ…ままっ……」
[メイン]
氷室 セナ :
「にげ、て…」
霞む視点で、確かに屍生人を見て
[メイン] 神原駿河 : 横向きに降り頻る雨のように爪弾を乱射しながら、それでも押されて後ろへと下がる
[メイン]
第三の少年 :
───「ママ」
その言葉と、何より感情が頭の中で反復し
増幅し続ける。
[メイン] 神原駿河 : “牙”の弾数に限りは無く、威力は揚々とゾンビの頭を切り飛ばす、が
[メイン] 氷室 セナ : スカイハイのヴィジョンが、完全に消える
[メイン] 神原駿河 : “多すぎる”
[メイン]
第三の少年 :
気づけば───一瞬、その少年の傍に佇んでいたのは
『ウサギ』のような頭部の───……
[メイン] :
[メイン] : 『───落ち着くのだ マンティスよ』
[メイン] : 『お前は……私だ』
[メイン] :
[メイン]
ザ・ワールド :
ド
ウゥン
[メイン]
ザ・ワールド :
ゾンビの群れを殴り飛ばし、掻き分け───
爆炎と共に再び、そのスタンドが現れる。
だが、それは決してヒーローではない。
[メイン] ザ・ワールド : セナを、彼女の華奢な体を"粉砕"しようとしたスタンド。
[メイン] 七七 : 「……!!……するが!!」
[メイン] 神原駿河 : 「させるッものか!!」
[メイン]
テネブレア :
「ままっ……………っっ!!!ままぁ………っ!ままぁぁ………」
[メイン] 神原駿河 : 勢いよく前進する金色色の敵へ向け、十の砲身から爪弾を乱射
[メイン] テネブレア : ……に…啜り泣く。
[メイン] 神原駿河 : 「この距離ならッ!!」
[メイン]
第三の少年 :
「……!! ……………」
テネブレアを凝視し、動揺を続けながらも
再び、髪が逆立ち───縁のハートをマスクに浮かべる。
[メイン] ザ・ワールド : ───……
[メイン] ザ・ワールド :
[メイン] : 瞬間、その爪弾は
[メイン] : いつのまにか、真下のアスファルトを抉っていた。
[メイン] 神原駿河 : 「……は?」
[メイン]
ザ・ワールド :
「───」
ニヤリと、間違いなくそのスタンドは不敵な笑みを浮かべる。
[メイン] 神原駿河 : 狙いを定め、渾身のタイミングで放った攻撃を躱され唖然とする
[メイン] 七七 : 「……っ……!」
[メイン] 神原駿河 : ────迎撃が、見えない?
[メイン] ザ・ワールド : 再び、まるで虚空を圧縮するように拳を握りしめる。
[メイン] 七七 : 「するがは……渡さない……ッ!」
[メイン]
ザ・ワールド :
───そして
その圧倒的"破壊"を再び振り下ろさんとした。
[メイン] 七七 : 神原の前に、手を真横に開いて立ちはだかる。
[メイン] 神原駿河 : 「あ、──七七」
[メイン2] 氷室 セナ :
[メイン2] 氷室 セナ : …ん
[メイン2] 氷室 セナ : なる、ほど
[メイン2] 氷室 セナ : …いや、確かに
[メイン2] 氷室 セナ : あまりにも上手くやれすぎてた、だけですね
[メイン2] 氷室 セナ : ………いや、でも
[メイン2] 氷室 セナ : このままでは…せめて、せめて何かを
[メイン2] 氷室 セナ : ……でも、スカイハイは、もう
[メイン2] スカイハイ :
[メイン2] 氷室 セナ : …?
[メイン2] 氷室 セナ : いや、スカイハイは…消えてしまうはず
[メイン2] 氷室 セナ : DISCは、死にゆく魂に引かれる…はず
[メイン2] 氷室 セナ : …まだ、まだ何か
[メイン2] 氷室 セナ : 何かが魂を、引き留めている!
[メイン2] : ┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨ ┣¨┣¨……
[メイン2] 『魂の掃除屋』 : ┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨ ┣¨┣¨……
[メイン2] 氷室 セナ : この…生き物か
[メイン2] 氷室 セナ : スカイハイで、繋がっている…!
[メイン2] 氷室 セナ : 魂を引き留めて…つまり
[メイン2] 氷室 セナ : …この生物にできることなど、何もわからないが
[メイン2] 氷室 セナ : 魂さえ残っているのなら…人はまだ
[メイン2] 氷室 セナ : 精神は死んでいないッ!
[メイン2] 『魂の掃除屋』 : ウギイイイイ
[メイン2] 『魂の掃除屋』 : 瞬間、セナの腹の穴に食らいつく
[メイン2] 氷室 セナ : ふ、ぐ…ぐ!
[メイン2] 氷室 セナ : いや…しかし
[メイン2] 氷室 セナ : まだ、操れるなら…ッ!
[メイン2] 氷室 セナ : ガッ、あッ!!!
[メイン2] 氷室 セナ : …く、く、あ
[メイン2] 氷室 セナ : …これで
[メイン2] 氷室 セナ : …まだ、やれる
[メイン2] 氷室 セナ :
[メイン2] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ : ボコ
[メイン] 氷室 セナ : 瞬間、セナの貫かれた腹から
[メイン] : 『───なんだと?』
[メイン] 氷室 セナ : 卵が一つ飛び出す
[メイン]
ザ・ワールド :
「!!」
ピタ───z___ッ
[メイン] 氷室 セナ : ボコ、ボコと
[メイン]
ザ・ワールド :
その、突如飛び出した未知の、可能性を秘めたそれに警戒してか
拳を緩め、すぐに後方へと飛ぶ。
[メイン] テネブレア : 「……………ままぁ……?」
[メイン] 氷室 セナ : 腹の傷が蠢いて、卵を吐き出して
[メイン] 氷室 セナ : 更に、穴が埋め直される
[メイン] 七七 : ……その奇妙な静けさに、閉じた目をゆっくりと開く。
[メイン] 神原駿河 : 「────な、に……!?」
[メイン]
ザ・ワールド :
そして───その奇妙な静けさはこのスタンドにとって
茹だるような熱気であった。
[メイン] テネブレア : 「ままぁ………!」
[メイン] スカイハイ : もう一度右手にヴィジョンが発生すると
[メイン] 神原駿河 : 目を見開いた途端、周囲の状況が一変していた
[メイン] ロレンチーニャ : 虫が辺りから湧き上がり、セナの心臓部に群がり
[メイン] ロレンチーニャ : 一瞬、激しいスパークを発生させる
[メイン] 氷室 セナ : 「がッ、は、く…う」
[メイン] 神原駿河 : 「……コレは、一体何が」
[メイン] ロレンチーニャ : 電圧によって、AEDの動作を無理矢理引き起こし、心臓を再始動
[メイン] 神原駿河 : 「七七、セナは今生きてるのか?」
[メイン] テネブレア : 「ままっ…!ままっ!!ままぁぁっ…!!!」
[メイン] 七七 : 「……」
[メイン] 氷室 セナ : 「…ふ、ん…」
[メイン] 氷室 セナ : 腹には、服に突き破られた穴はあるが
[メイン] 氷室 セナ : 肉体は、確かに塞がっている
[メイン] 氷室 セナ : そして、辺り一面に奇妙な卵
[メイン]
神原駿河 :
「…‥コレは、“卵”だ」
「見たことがない形だけれど、確かにそうだッ!」
[メイン] 氷室 セナ : 「…スカイハイ」
[メイン] 氷室 セナ : 右手を握り込むと
[メイン] 氷室 セナ : 卵が一斉に孵化し
[メイン] 七七 : 「……たまご?」
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 「ウシャアーッ!!!」
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 奇妙な生物が、殻を捨てて立ち上がる
[メイン] 氷室 セナ : 「…記憶の一切が、私には役に立たなかった」
[メイン] テネブレア : 「ままぁ……」
[メイン] 氷室 セナ : 「このスタンドは、私のスタンドだが私のスタンドじゃない」
[メイン] テネブレア : ママの手を握る。
[メイン] 神原駿河 : 「……つまり、どういうことだ!?」
[メイン]
氷室 セナ :
「得て、数年は無駄だと思ってた、けど」
テネブレアの手を握りつつ
[メイン] 氷室 セナ : 「…私が操る生き物は、ずっと別だったわけだ」
[メイン] 『魂の掃除屋』 : その爬虫類とも両生類とも違う生き物は
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 素早く、黄色いヴィジョンを目指して走り出す
[メイン]
神原駿河 :
「────まさか、コレは」
「ロレンチーニャに続く、スカイハイの影響下にある生物」
[メイン]
:
『───まずい……
コイツら…………! 『魂の掃除屋』かッ!!!』
[メイン] 氷室 セナ : 「私は、疑問に思っていた」
[メイン]
:
『世界(ザ・ワールド)』ッ!!!
[メイン] 氷室 セナ : 「人は精神故に人たりえるなら」
[メイン] 氷室 セナ : 「身体が死んでも世界に人が溢れてしまう」
[メイン] 氷室 セナ : 「ただ、成る程…考えてみれば簡単だ」
[メイン] 氷室 セナ : 「そんな仕掛けにも、更に整理する『仕掛け』はある!」
[メイン] 神原駿河 : 「『スカイハイ』の……いや!!」
[メイン] 神原駿河 : 「セナの新たな仲間かッ!!」
[メイン] 氷室 セナ : 「『未知』は打破した」
[メイン] 氷室 セナ : 「お前にも、知ってもらうぞ」
[メイン] 氷室 セナ : 「…吸血鬼の"亡霊"!」
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 瞬時に、ザ・ワールドに飛びかかる
[メイン] :
[メイン] : 『ほお 理解していたとはな』
[メイン] : 『少しだけ褒めてやるぞ───が』
[メイン] ザ・ワールド : 「時間は止めれば───とるに足らんはずだ」
[メイン]
ザ・ワールド :
───『世界』!
時よ止まれいッ!!!
[メイン] ザ・ワールド :
[メイン]
ザ・ワールド :
「まさか な」
───魂の掃除屋を、凝視する。
[メイン] 『魂の掃除屋』 : しかし、魂は止まらない
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 魂の世界に『時間』の概念は無い
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 全ては、掃除されるその瞬間まで風化しない
[メイン]
ザ・ワールド :
「───!!!」
追跡。"世界"を超えた───『時間』の存在しない追跡……!
すでに肉体を超越した……存在であるがゆえに……!
[メイン] 『魂の掃除屋』 : "時間の幽霊は居ない"
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 「ウギシャアアァァァァッ!!!」
[メイン] 第三の少年 : ───その時。
[メイン]
第三の少年 :
少年が、腕を広げ───
『世界』と、『掃除屋』の間に爆炎を起こす。
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 「グギッ」
[メイン]
第三の少年 :
『世界』を操っているのは───
おそらく『DIO』だが、何かしらの理由でこの少年を『経由』している。
[メイン] 第三の少年 : この少年もまた、時間の止まった世界に”入門”していたッ!!!
[メイン]
ザ・ワールド :
「───時は、動き出す……チッ!」
少年の傍まで戻ると、その姿を消し。
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 「クキィ」
[メイン] 神原駿河 : 「……!?」
[メイン] 『魂の掃除屋』 : べちょり、地面に落ちるが
[メイン]
神原駿河 :
瞬間、熱波が顔に突き当たり
手で前を覆う
[メイン] 氷室 セナ : 「…噂は本当、か」
[メイン] 七七 : 「……ううう」
[メイン] 氷室 セナ : 「"時間に干渉するスタンド"」
[メイン] 神原駿河 : 「い、今…あのスタンド、あの生き物から逃げたのか!?」
[メイン] 氷室 セナ : 「…ええ」
[メイン] 氷室 セナ : 「この生き物は、魂を掃除する生物」
[メイン]
第三の少年 :
「…………」
そのマスクの奥。その表情はわからない。
だが、おそらくその表情はきっと、マスクをかぶった『彼』の物ではない。
[メイン] 神原駿河 : 「……スタンドの天敵じゃないか」
[メイン] 氷室 セナ : 「魂の分身で体からはみ出るスタンドは」
[メイン] 氷室 セナ : 「…そう」
[メイン] スカイハイ : ぐっと、右手を構え直し
[メイン] 氷室 セナ : 「確か…」
[メイン] 氷室 セナ : 「お前のスタンドは、"世界"の暗示だったと聞いた」
[メイン] 氷室 セナ : 「…なら、あらためて言っておく」
[メイン] 氷室 セナ : 「この生き物は"世界の自浄作用"」
[メイン]
氷室 セナ :
「追い込め!スカイハイ!」
もう一度、命令を走らせる
[メイン]
第三の少年 :
「…………」
"少年"は語らない───だが。
[メイン] : 「完全制覇、完全攻略、正確無比、永遠不滅。」
[メイン] : 「それが、『世界』の正位置だ」
[メイン]
ザ・ワールド :
ド
ウ
ゥン
[メイン] ザ・ワールド : 「物知りなキサマなら わかるだろう」
[メイン] 氷室 セナ : 「…ふむ」
[メイン]
ザ・ワールド :
「ザ・ワールドはまさに最強のスタンド
だが───そのスタンドの使い手が……"人間"ではないことも、また」
[メイン] 氷室 セナ : 「…ええ」
[メイン] 氷室 セナ : 「少なくとも、アンタの本来の本体は…」
[メイン] 牙 : コショコショ
[メイン] 氷室 セナ : 「『吸血鬼』」
[メイン] 神原駿河 : 「…ッ!」
[メイン] 七七 : 「まさか……!」
[メイン]
ザ・ワールド :
「そうだ───」
拳を構え、今度は───時間停止は、不要。
[メイン]
ザ・ワールド :
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ───!!!!!!」
[メイン] 氷室 セナ : 「スカイハイッ!」
[メイン] ザ・ワールド : 『掃除屋』に、叩き込むッ!!!
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 一匹、二匹、三匹
[メイン] 神原駿河 : 「──なっ!?」
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 襲い掛かる掃除屋は、儚く砕ける
[メイン] 氷室 セナ : 「…そうね」
[メイン] 氷室 セナ : 「魂の存在は、いわば」
[メイン]
ザ・ワールド :
凄まじいスピード。
突きの速さ比べ。それは───"ある瞬間"までのあの男にすら勝っているほど。
[メイン] 氷室 セナ : 「グラスのない"注がれた水"」
[メイン] 氷室 セナ : 「本来、形を保ち得ない存在」
[メイン] 氷室 セナ : 「スタンドであれば、精神を持って器を」
[メイン] 氷室 セナ : 「人間には肉体を」
[メイン] 神原駿河 : 「……つまり、水を拭うのが仕事の掃除屋は、氷相手に弱いというわけかッ!!」
[メイン] 氷室 セナ : 「…掃除屋にはそれが無い」
[メイン] 氷室 セナ : 「…そう、どうであれ、脆い」
[メイン] 氷室 セナ : 「…なら、まあ」
[メイン] 氷室 セナ : 「根比べにしよう」
[メイン] ザ・ワールド : 「───"根比べ"だと?」
[メイン] スカイハイ : スカイハイのついた腕を
[メイン] 神原駿河 : 「……そういうわけかッ!」
[メイン] スカイハイ : 自身に突き立てると
[メイン] スカイハイ : そのまま、再び無数の卵を噴き上げる
[メイン] 神原駿河 : 両腕を前に構え、ザ・ワールドに狙いを付ける
[メイン] 氷室 セナ : 「お前にも分かるはずよ」
[メイン] 氷室 セナ : 「世界というあまりにも膨大なリソース」
[メイン] 氷室 セナ : 「時を干渉する程の力が、お前『世界』なら」
[メイン] 氷室 セナ : 「私のは、世界中の生物を掃除する"程"」
[メイン]
ザ・ワールド :
「───何ッ!!」
だが、スタンドは精神力によって成長する。
ましてや、そのスタンドが何かを"支配"する能力であれば───まさに、このDIOのように……。
"わかっていた"が……
[メイン] 氷室 セナ : 「地球が生まれて数億と二千と数十年」
[メイン] 氷室 セナ : 「生物は、せいぜい数万」
[メイン] 氷室 セナ : 「人類は更に短く切り取り数世紀」
[メイン] 氷室 セナ : 「魂は、お前が確か一人に付き10gと仮定していた」
[メイン] 氷室 セナ : 「…さて、お前はこれから」
[メイン] 氷室 セナ : 「全ての魂を掃除して余りある総量をぶつけさせて貰う」
[メイン]
『魂の掃除屋』 :
「ピギーッ」
「ギャーイ」
「ウギイイイイ」
[メイン] 神原駿河 : 「……ついで程度の爪弾もある、まあ、オマケのような物だがな」
[メイン]
ザ・ワールド :
「だが───……"人"は"成長"し
目覚ましい発展を遂げた、だろう
ともすれば、その人間すら『超越』したこのDIOが───そしてこの俺を
粉砕した……ジョースター家の『魂』が───10グラムぽっちで済むと」
[メイン] 牙 : コショコショ
[メイン] 神原駿河 : ……さっきから鳴かないな
[メイン] 氷室 セナ : 「そうね」
[メイン]
ザ・ワールド :
「思っているのか
───その生物を操るキサマもまた……『人間』だ」
[メイン] 氷室 セナ : 「そう、私は人間」
[メイン] 氷室 セナ : 「少なくとも、お前みたいに」
[メイン] 氷室 セナ : 「この生き様に欲張るほどの強欲さは無いッ!!!」
[メイン] 氷室 セナ : 「スカイハイッ!!!奴を全て飲み込めーッ!」
[メイン]
ザ・ワールド :
「…………───減らず口を叩きおって
───ザ・ワールドッ!!!」
ド
ウ
ゥン
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 今度は倍の数を引き連れて
[メイン] 『魂の掃除屋』 : その間にも卵は地面から湧き出して
[メイン] 牙 : 無言で射出された爪弾が、ザ・ワールドの寸前で静止する 合計九発
[メイン]
ザ・ワールド :
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!!!」
[メイン] 七七 : 「……知ってる?生き物ってさ」
[メイン] 七七 : 「……たとえ死んでも。その『魂』は……形を変えず、残ってるの」
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 弾ける、弾ける、弾ける
[メイン] 七七 : もぞもぞと、破壊されたはずの『掃除屋』を━━復元し続ける。
[メイン] 牙 : 蹴散らされる爪弾、まだ まだ足りない
[メイン] 牙 : そんな中、今も牙は何かを囁いている
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 透明な掃除屋が
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 凶暴さを増し暴れだす
[メイン] 牙 : ……“止まった、時の中でも”
[メイン] 牙 : 「Movere Crus」
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 「グバァア──ッ!!!」
[メイン] 牙 : そう、左腕に向かい囁き続けている
[メイン]
ザ・ワールド :
───やはりこの『掃除屋』を真っ向から潰し続けるのは至難。
が、このDIOが、このDIOが───…………ここで食い倒されるとでも思っているのかッ!!!
時は、動き出す───……!!!
[メイン]
第三の少年 :
瞬間、少年の介入が入る。
爆炎が───再び燃え広がるッ!!
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 炎に巻かれるが
[メイン] 神原駿河 : 「また、コレか──ッ!?」
[メイン]
ゾンビ :
「ウオオオ ウオオオオオオオ───z___!!!」
そして、ゾンビによる───肉壁ッ
[メイン] 左腕 : シルシルシルシルシルシル
[メイン] 氷室 セナ : 「…ッ!」
[メイン] 七七 : 「━━ッ!ぐぅ…ッ!」
[メイン] 神原駿河 : 「……?」
[メイン] 氷室 セナ : 「波紋は足りない…多すぎる」
[メイン] 神原駿河 : 「……おかしい、全弾、放った筈」
[メイン] 七七 : 「……っ……するが、その腕……!?」
[メイン]
ザ・ワールド :
「どうだゾンビの肉壁は───…………?」
なんだ、この妙な悪寒は。
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 掃除屋は、ゾンビの魂を食らい
[メイン]
左腕 :
一本だけ、爪弾が残っている
だが
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 別の生き物に変質させるが、ザ・ワールドには届かない
[メイン]
左腕 :
回転方法が、おかしい
歪んだ腕の指を軸にして、他の指とは違う回転を続けている
[メイン]
神原駿河 :
「……もういいッ!!」
「とにかくお前も行けぇぇ!!」
[メイン] 神原駿河 : 躊躇なく、全く別の回転を続ける爪弾を、ザ・ワールドへ向けて射出した
[メイン]
第三の少年 :
「───!!!」
少年が、『DIO』の意思に引っ張られ
ザ・ワールドをこちらへと手繰り寄せるように、引き寄せる。
[メイン]
ザ・ワールド :
「───」
あの『回転』は何だッ!!
[メイン] 氷室 セナ : 「…神原!?今のは!?」
[メイン] 神原駿河 : 「わからないが、兎に角邪魔だから撃った!!」
[メイン] 神原駿河 : 「次の爪弾が来たら、また奴……を?」
[メイン] 左腕 : 遅い、一本だけどうしようも無く爪の伸びが遅い
[メイン] 七七 : 「……するが!……さっきの、もう一回できる……!?」
[メイン] 氷室 セナ : 「…いや、させますよ」
[メイン]
ザ・ワールド :
どうする───叩き落すか?
否、これを叩き落す事が果たして正しいのか!!?
[メイン] 氷室 セナ : 神原の手を持つ
[メイン] 氷室 セナ : 「コォオオオオオッ!!!」
[メイン] 神原駿河 : 「……!?」
[メイン] 氷室 セナ : 波紋!波紋の生命のエネルギー!
[メイン] 氷室 セナ : 自身の生命エネルギーを波紋に転換し、神原に流し込む!
[メイン] 氷室 セナ : 一時的にだが、神原自身の生命活動を引き上げる為に!
[メイン]
第三の少年 :
「───……!!!」
少年に介入する『DIO』の意思以上に
その場に突如あふれ出した、黄金の輝きが少年が少年たらしめる意思を絆し始める。
[メイン] 氷室 セナ : 「装填は、間に合いますかッ!」
[メイン] テネブレア : 「ままぁっ……」
[メイン]
ザ・ワールド :
「!!?」
スタンドパワーが……落……!
[メイン] 左腕 : 軋むような音を立て、爪弾が復活し、また激しく回転する
[メイン]
神原駿河 :
「や、やれたッ…!」
「だが、コレがなんだと言うんだ!!」
[メイン] 神原駿河 : 「あんな奴相手に、通じてしまう物なのかッ!?」
[メイン] 氷室 セナ : 「…通じる限り、続けます!」
[メイン] 氷室 セナ : 「テネブレア、今はそばに」
[メイン] 氷室 セナ : 「ここが一番安全でしょう」
[メイン] 神原駿河 : 「やるしか、ないッ!!」
[メイン] テネブレア : 「ん……ままぁ……だいすき…」
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 力の限り、掃除屋を
[メイン] 七七 : 「……サポート、全力……!」
[メイン]
第三の少年 :
その、『黄金の精神』は
とうとう───DIOの『意思』を少年から振り払い。
ザ・ワールドは、少年の下まで引き寄せきれないッ!!!
[メイン] ザ・ワールド : 「な 何ィ~~~!!!」
[メイン] 氷室 セナ : 「…別れた」
[メイン] 『魂の掃除屋』 : すると
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 物陰に挟まされていた卵が一斉に孵化する
[メイン] 神原駿河 : 「今、今撃てばいいのかセナ!?さっきの通り、リロードが遅いぞ!!」
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 「コァーッ!!!」
[メイン]
ザ・ワールド :
「───!!!」
無限に、無限に等しい……概念を知らぬ……『ノミ』がッ!!!
[メイン] 氷室 セナ : 「打てれば良いんです!!」
[メイン] 氷室 セナ : 「どれだけの時間を止めようが!攻めようが!」
[メイン] 氷室 セナ : 「人型である限り死角がある!」
[メイン] 神原駿河 : 「なら……!!」
[メイン] 氷室 セナ : 「背部、背の中心」
[メイン] 氷室 セナ : 「拳を届かせることはできない」
[メイン] 神原駿河 : 「なら、そこを狙うッ!」
[メイン] 氷室 セナ : 「故に…どんなに強くても…あのスタンドはもう」
[メイン] 氷室 セナ : 「抗い切れないッ!!」
[メイン]
第三の少年 :
少年は、確かにこの瞬間ッ!
DIOの側ではない。
ゆえに、ザ・ワールドの死角を補い、爆炎を起こす彼も。
[メイン] 第三の少年 : もはや、助けとならない!
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 降り注ぐ雨のように!
[メイン] 七七 : 「……チャンスは、逃さない……!!」
[メイン]
ザ・ワールド :
「───ぬううッ!!!
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ!!!」 」
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 魂の掃除屋はザ・ワールドにありとあらゆる方位から跳ね上がる!
[メイン]
ザ・ワールド :
四方八方、その体躯を絶え間なく宙で『回転』させ
掃除屋にその身を貪られないよう、ラッシュを叩き込むッ!!!
[メイン] 氷室 セナ : 「…一匹」
[メイン] 氷室 セナ : 「無理矢理撃ち抜いて押し込んでください」
[メイン] 神原駿河 : 「……わかった!!」
[メイン] 神原駿河 : 「タイミングは任せる、好きにやれッ!!」
[メイン] 氷室 セナ : 「…今です、たった今!」
[メイン] 七七 : 「……!」
[メイン] 神原駿河 : 「“牙”ゥゥゥ!!!」
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 打ち出された爪に!
[メイン] 左腕 : 文字通り撃鉄を入れれたかの様に、回転を続ける爪弾が、魂の掃除人に激突する
[メイン]
ザ・ワールド :
『馬鹿な』
『このDIOが───!!!』
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 迎撃する拳を!
[メイン] 『魂の掃除屋』 : 無理矢理食いちぎるッ!
[メイン] act2 : 「チュミミーン!」
[メイン]
ザ・ワールド :
『この……!!!』
『DIOがァアアッッ~~~~~~~!!!!!』
[メイン] 氷室 セナ : 「…もう、おしまいです」
[メイン] act2 : 快勝を叫ぶ様に、一瞬姿を表した次世代は
[メイン] 牙 : 解ける様に、元の姿へ戻った
[メイン] 氷室 セナ : 「吸血鬼の癖に、酷い傲慢な癖に」
[メイン] 氷室 セナ : 「…"人間"にしがみつくな、DIO」
[メイン]
第三の少年 :
「──── ハッ」
刹那、少年は───貪られる『世界』に気づいた。
[メイン] 第三の少年 : そして、手を伸ばし。
[メイン]
第三の少年 :
『爆炎』
[メイン] 第三の少年 : ───ザ・ワールドは、粉々となった。
[メイン] :
[メイン]
:
『世界』から骨が飛び出し。
その骨は、どこかへと消えていった。
[メイン] :
[メイン] 神原駿河 : 「あ、あの少年がトドメを刺した!?」
[メイン] 神原駿河 : 「自分のスタンドではなかったのか!?」
[メイン] 氷室 セナ : 「…ええ」
[メイン]
第三の少年 :
「……」
少年は、マスク越しだが
何故か───セナのような雰囲気を醸し出していた。
[メイン] 氷室 セナ : 「私は知っている、彼はあの本体とは違う」
[メイン]
七七 :
「…………」
警戒を保ったまま。
[メイン] 氷室 セナ : 「…貴方は」
[メイン] 氷室 セナ : 「貴方は誰ですか」
[メイン] テネブレア : 「ままぁっ……」
[メイン]
第三の少年 :
「───……」
瞬間、時間を停止したわけでもないというのに
セナの眼前へと瞬間移動し。
[メイン]
神原駿河 :
「……な、なんだ」
「先程から何度も雰囲気が変わる」
[メイン]
氷室 セナ :
「…むむ」
くっつくテネブレアを撫でつつ
[メイン] 氷室 セナ : 「…っ」
[メイン]
第三の少年 :
───負ったダメージを、無かったことにするかのように
『治す』
[メイン] 神原駿河 : 「…服が、いや傷が治っていく」
[メイン] 神原駿河 : 「この少年は、もう味方なのか…?」
[メイン] 氷室 セナ : 「…これは」
[メイン] 七七 : 「……」
[メイン]
第三の少年 :
「…………」
コク、と頷くと少年は再び宙へと浮かび上がり。
[メイン]
第三の少年 :
その最中、突如透明となり。
目で追う事はできなくなった。
[メイン] 氷室 セナ : 「…」
[メイン] 氷室 セナ : 「…さようなら」
[メイン] 神原駿河 : 「……まるで、幽霊だったな」
[メイン] 七七 : 「……幽霊」
[メイン] 氷室 セナ : 「…わからない」
[メイン] 氷室 セナ : 「ですが今は」
[メイン] 氷室 セナ : 「…終わったことを喜びましょう」
[メイン] テネブレア : 「ままぁ!!だいすきぃ……」
[メイン] 七七 : 「……」
[メイン] 神原駿河 : 「……ハハ、テネブレアはブレないな」
[メイン] 神原駿河 : 「ハハ、ハッハッハッハッハ!!!!」
[メイン] 神原駿河 : 「生きてるのか!!!」
[メイン] 神原駿河 : 「あっはっは!」
[メイン] 氷室 セナ : 「…ええ」
[メイン] 七七 : すとん、と神原にもたれかかって。
[メイン] 氷室 セナ : テネブレアを撫でて、抱き上げて
[メイン] 氷室 セナ : 「…ほら」
[メイン] 氷室 セナ : 「帰りますよ、疲れましたので」
[メイン] 七七 : 「……疲れた」
[メイン] 神原駿河 : 「七七、私たちはまだ動いている、もう大丈夫だ、ハハ……あー」
[メイン] テネブレア : 「んぁ…ままぁ………」
[メイン] 神原駿河 : 「わかる、疲れた…」
[メイン] 神原駿河 : 「セナ、私と七七をおんぶしてくれ…」
[メイン] 氷室 セナ : 「馬鹿言わないで」
[メイン]
七七 :
「するが、お手柄だった。えらい」
もたれかかった姿勢のまま、その頭に手を伸ばして。
[メイン] 神原駿河 : 「ん…?」
[メイン] 神原駿河 : されるがままに、七七の方を向く
[メイン] 氷室 セナ : 「…ああ」
[メイン] 七七 : さすさすと、撫でるように。
[メイン] 氷室 セナ : 「神原はよくやった」
[メイン] 氷室 セナ : 「…一つ、稀な話があるの」
[メイン] 氷室 セナ : 「スタンドは進化する」
[メイン]
神原駿河 :
「ん、進化……ですか?」
撫でられながら、話を聞いている
[メイン] 氷室 セナ : 「…確かなのは、それを起こすのは」
[メイン] 氷室 セナ : 「素晴らしい魂の持ち主、だそう」
[メイン] 神原駿河 : 「……“素晴らしい”ですか」
[メイン]
七七 :
「……せな、無事でよかった。……でも、次から、説明して」
少し不満そうに
[メイン] 氷室 セナ : 「…"精神"」
[メイン] 七七 : 「よかった。するが、すばらしいって」
[メイン] 氷室 セナ : 「…すいませんね、色々私もあって」
[メイン] 氷室 セナ : 「私は一つ、前こう言われました」
[メイン] 神原駿河 : 「……ふむ?」
[メイン] 氷室 セナ : 「価値のあるものは『精神の成長』」
[メイン] 氷室 セナ : 「…行った結果ではなく、その過程に備わる成長にこそ、価値がある」
[メイン] 氷室 セナ : 「…素晴らしい魂の持ち主…というのは」
[メイン] 神原駿河 : 「……」
[メイン] 七七 : 「……」
[メイン] 氷室 セナ : 「"それだけの逆境を越える魂の持ち主"であったからこそ」
[メイン] 氷室 セナ : 「素晴らしい、と言ったのだと」
[メイン]
氷室 セナ :
「私は思ってますよ」
にこりと、かすかに微笑み
[メイン] 七七 : 「……するが。」
[メイン] 七七 : 「するがは、どんな気持ちだったの?」
[メイン] 神原駿河 : 「……必死、だったな」
[メイン]
神原駿河 :
「これから、何ができるのか」
「何か掴めるのか、それに対して一生懸命だった」
[メイン] 七七 : 「……うん」
[メイン] 神原駿河 : 「……だから、不謹慎かもしれないんだが」
[メイン]
神原駿河 :
「ザ・ワールドを射抜くまでの間」
「これまで以上に、生きている事に感謝していた」
[メイン]
神原駿河 :
「……必死に、真っ直ぐに」
「そう生きていられる事に、感謝していた」
[メイン] 神原駿河 : 「……そんな場合じゃないとは、わかっていたんだがな」
[メイン] 氷室 セナ : 「それは成長ですよ」
[メイン] 神原駿河 : 「…え」
[メイン] 氷室 セナ : 「…自分の人生に、価値を一新させた」
[メイン] 氷室 セナ : 「生まれてきてからやったことを定義し直して」
[メイン] 氷室 セナ : 「精神を貴女に形作る記憶を研ぎ直す」
[メイン] 氷室 セナ : 「それは成長だ」
[メイン] 神原駿河 : 「───」
[メイン] 神原駿河 : 「……ああ、私もそう思う」
[メイン] 七七 : 「……。」
[メイン] 神原駿河 : 感慨深く強く頷くと、少しフラつく
[メイン] 七七 : 「!」
[メイン] 七七 : ぱ、と支えるように飛びつく。
[メイン]
神原駿河 :
「っと……す、すまない七七」
「ちょっと、集中しすぎたみたいだ」
[メイン] 氷室 セナ : 「…っと」
[メイン]
テネブレア :
「まま……ままぁっ………ん〜?」
キスを待つ。
[メイン] 氷室 セナ : 「…………」
[メイン] 氷室 セナ : 指を当てておき
[メイン] 七七 : 「ん……するが、よく頑張った。」
[メイン] 氷室 セナ : 「行きますよ、続きの話は」
[メイン] 氷室 セナ : 「また後にしましょうか」
[メイン] 神原駿河 : 「……ああ」
[メイン]
神原駿河 :
少し、フラつきながらも
自分の足で立ち上がり、地面と離れる
[メイン] テネブレア : 「ままぁ〜……だい…だいすきぃ…」
[メイン] 七七 : 「……」
[メイン] 氷室 セナ : 「…んもう」
[メイン] 氷室 セナ : 疲れたようにため息しつつ
[メイン] 神原駿河 : 「ハハ、デレデレだな」
[メイン] 氷室 セナ : 「何故でしょうね…」
[メイン] 氷室 セナ : そう言って、帰路に着く
[メイン] 七七 : 前へと導くように、神原の手を取り。
[メイン] 七七 : 「するが、こっち。……おんぶは無理だけど」
[メイン] 神原駿河 : 「…ありがとう、七七」
[メイン] 神原駿河 : 誘導に従い、歩いて行く
[メイン] 氷室 セナ : …まるで全てを終えたかのように、空を見上げてふと思う
[メイン] 氷室 セナ : 『人間はあの時地球を超えて成長したんだッ!』
[メイン] 氷室 セナ : そうですね
[メイン] 氷室 セナ : 『世界』すら超えたのは、もう何年も前の話だ
[メイン] 氷室 セナ : どうであれ、こんなことでは
[メイン] 氷室 セナ : 何も終わらない
[メイン] 氷室 セナ : …まだ、やる事は続いてるのだ
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ : 怪我を処置しつつ、施設の装備などを整理して
[メイン] 氷室 セナ : 上層部に送り付ける始末書などを認めている
[メイン] テネブレア : 「ままぁ…………」
[メイン] : その時、セナの通信端末が鳴る。
[メイン] 氷室 セナ : 「…ん?」
[メイン] 氷室 セナ : 端末を取り出して
[メイン] 氷室 セナ : 「どうも」
[メイン]
エイハブ :
『セナ。こちらエイハブ……そっちはどうだ?』
『こちらは"スーパーエイジャ"の回収を完了した』
[メイン] 氷室 セナ : 「…エイハブですか」
[メイン] 氷室 セナ : 「成程、こちらでは殆ど確認できてなかったので朗報ですね」
[メイン] 氷室 セナ : 「こちらでは過去確認された"ザ・ワールド"と交戦、退けました」
[メイン] エイハブ : 『これで……最悪"究極生物"をこの目で拝む羽目になる事は避けられる……あとは"石仮面"だ……』
[メイン] エイハブ : 『……!!? ザ・ワールドだと』
[メイン] 氷室 セナ : 「理由は定かではありませんが…ええ」
[メイン] 氷室 セナ : 「この目で確認しました、時間の停止も同様」
[メイン]
エイハブ :
『そうか───……こちらも、ザ・ワールドと交戦した
おそらくアンタの前に、だが……』
[メイン] 氷室 セナ : 「…成程、あの破壊の後はそういう事ですか」
[メイン]
エイハブ :
『そして……セナ。
スーパーエイジャの確認がてら、アンタに見てもらいたい人物が一人……』
『そして公的な協力者を一人得た。果たして素性は知れているというべきかわからないが……どこかで落ち合うべきだろう、どうする?』
[メイン] 氷室 セナ : 「…こちらの施設には現在スタンドに覚醒した一般人が二人と…その」
[メイン] 氷室 セナ : 「スタンドにより精神疾患を発症した患者を一人回収しています」
[メイン] 氷室 セナ : 「持ち場を離れるのが難しいので、こちらに落ち合えますか?」
[メイン]
エイハブ :
『そうか───ご苦労だった』
『わかった、そちらで落ち合おう。
…………ところでセナ……さっきから"声"がするが、それが精神疾患を発症した患者か?』
[メイン]
氷室 セナ :
「はい」
きっぱり
[メイン] 氷室 セナ : 「…何分、色々こちらも仕事が詰まり手が回り切ってません」
[メイン]
エイハブ :
『……ハハハ』
向こうで、微かに笑い。
『了解した───OVER』
そう言って、通信を切る。
[メイン] 氷室 セナ : 「失礼します」
[メイン] 氷室 セナ : そのまま端末を仕舞い
[メイン]
氷室 セナ :
「…はぁ」
ひと際深い溜息を吐くのだった
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] :
[メイン] : その頃、財団施設にて───
[メイン] テネブレア : 「ままぁ〜……どこにいくの…?」
[メイン] ロレンチーニャ : 辺りの機材から顔を出して
[メイン] ロレンチーニャ : 強制的に、生物が入眠を起こす電流を伝わせる
[メイン] テネブレア : 「ん………ままぁ………」
[メイン] テネブレア : 「むにゃ………むにゃ……」
[メイン]
氷室 セナ :
「…はぁ」
深い溜息
[メイン] 氷室 セナ : 「最初からこうすればよかった…」
[メイン] 氷室 セナ : そのまま屈んで
[メイン] 氷室 セナ : テネブレアの額に手を当てる
[メイン] 氷室 セナ : 「…スタンドが見えるなら、おそらく…こちらか、自然な覚醒だと思うんですがね」
[メイン] 氷室 セナ : そこから、人体に納められた"何か"を探るように
[メイン] テネブレア : 「ん………んんっ………ままぁ……だいすきだよぉ……」
[メイン]
氷室 セナ :
「…」
溜息
[メイン] テネブレア : 私から、DISCが排出される。
[メイン] 氷室 セナ : 「…やはり、これで」
[メイン] 氷室 セナ : そのDISCを回収した後
[メイン] 氷室 セナ : テネブレアを適当なベットに置いておく
[メイン] テネブレア : 「………すぅ…………すぅ……………」
[メイン] 氷室 セナ : 「…これも報告ですね」
[メイン] 氷室 セナ : そのまま、部屋を退出する
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ : …
[メイン] 氷室 セナ : 手元に、あるこのDISC
[メイン] 氷室 セナ : 本来なら、これは厳重に保管されるべき…だが
[メイン] 氷室 セナ : …私は、躊躇いなくそれを差し込む
[メイン] 氷室 セナ : 本来ならこれは命令違反も過ぎる、が
[メイン] 氷室 セナ : …私には、今は得られるならば力が───
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ : ───我が心と行動に一点の曇りなし……全てが『正義』だ
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン]
氷室 セナ :
「……く」
軽くよろめく
[メイン] 氷室 セナ : ……今のは、アメリカ…いや、おかしい
[メイン] 氷室 セナ : ……"時代が違い過ぎる"…?
[メイン] 氷室 セナ : ふと視線をあげると、目の前には
[メイン] D4C : ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
[メイン] 氷室 セナ : 「……アイツ」
[メイン] 氷室 セナ : 「一体、なんで……今あんな姿に…こんなものを持ってたのに」
[メイン] 氷室 セナ : 再び溜息を吐き
[メイン] 氷室 セナ : 記憶で見た事を、確かめるように
[メイン] 氷室 セナ : 先程寝かした部屋のドアに
[メイン] 氷室 セナ : その身を"挟み込む"
[メイン] 氷室 セナ : パタン
[メイン] 氷室 セナ : ドアが閉まれば
[メイン] 氷室 セナ : 何もなし…
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ : パタン、今度は別の…施設のセナの自室で開閉音
[メイン] 氷室 セナ : 「…はぁ、はぁ…」
[メイン] 氷室 セナ : 少し息粗く、そのまま椅子に座り
[メイン] 氷室 セナ : 「…よもや、でしたが…」
[メイン] 氷室 セナ : 「"隣"…というのはそこまででした、か」
[メイン] 氷室 セナ : 鞄を開き、ごとんと
[メイン] 氷室 セナ : 複数のノート積まれた机に
[メイン] 氷室 セナ : 石の仮面と
[メイン] 氷室 セナ : 真紅の石
[メイン] 氷室 セナ : 「……」
[メイン] 氷室 セナ : 「最悪の場合、私の力で戻せばいい」
[メイン] 氷室 セナ : 「…それまでは、これの力を調べなければ」
[メイン] 氷室 セナ : 石を嵌めて、仮面を光に晒せば
[メイン] 氷室 セナ : ガチン、と
[メイン] 氷室 セナ : 鋭い針が
[メイン] 氷室 セナ : 「…吸血鬼も、屍生人も…」
[メイン] 氷室 セナ : 「人に戻る施術を…」
[メイン] 氷室 セナ : そのまま、仮面を置いて
[メイン] 氷室 セナ : 部屋のドアに鍵をかけるのだった
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 氷室 セナ :
[メイン] 第三の少年 :
[メイン]
第三の少年 :
まるで───当然のように
"置かれた"仮面を、傍で見ていた。
[メイン] 氷室 セナ : 「…ッ!?」
[メイン]
第三の少年 :
「…………」
その髪は、逆立っており
同時に……そのマスクには。
[メイン] :
[メイン]
:
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
[メイン] 氷室 セナ : 「…貴方はッ!」
[メイン] 氷室 セナ : 瞬時に、対抗しようとするが
[メイン] 氷室 セナ : …隙、瞬く間の登場への動揺もあるが
[メイン] 第三の少年 : セナの額に向かって、手を───もたげる。
[メイン] 氷室 セナ : 二つのスタンドの感覚が、素早い対応を可能とせず───
[メイン]
第三の少年 :
傍で仮面が浮き上がると同時に
その額から───。
[メイン] 氷室 セナ : 「ッ、まさか!」
[メイン]
第三の少年 :
ヒュッ
[メイン]
第三の少年 :
少年と共に浮かび上がるは
スーパーエイジャ、石仮面…………そして『D4C』のDISC
[メイン] 氷室 セナ : 「…は、やい」
[メイン] 第三の少年 :
[メイン]
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少年は、そのまま音を立てる事もなく
ぱたんっと、目の前から消え去った。
[メイン] 氷室 セナ : ぐらり、と
[メイン] 氷室 セナ : スカイハイの何倍ものスタンドパワーを奪っていたソレを奪われ
[メイン] 氷室 セナ : 声をあげる事も出来ず、そのまま倒れ伏す
[メイン]
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その時、通信端末が
状況に似つかわしくないほどに微かに鳴る。
[メイン]
エイハブ :
『こちらエイハブ』
『遺骨が消えたが────…………?』
[メイン] エイハブ : 『どうした!?』
[メイン] 氷室 セナ : 「…エイ、ハブ…」
[メイン] 氷室 セナ : 声が続かない、が
[メイン] エイハブ : 『───まさか』
[メイン] スカイハイ : その手に遅れながらも、スタンドを展開し
[メイン] ロレンチーニャ : 携帯に、群がり
[メイン] ロレンチーニャ : パチ、パチと
[メイン] ロレンチーニャ : 信号を打つように、放電する
[メイン] : [スタンド、仮面、赤い石]
[メイン] : [浮かぶ少年、奪取]
[メイン] : [私の責任]
[メイン] 氷室 セナ : そのまま、気絶すると
[メイン] ロレンチーニャ : 携帯に集まっていたソレは雲散霧消した
[メイン]
エイハブ :
『…………!』
『…………セナ!!! セナ……』
気絶したであろう彼女に、もうその声は届かず。
[メイン] エイハブ :
[メイン2] テネブレア :
[メイン2] テネブレア :
[メイン2] テネブレア : …………はぁ…何度も探して…やっと見つけたわ
[メイン2] テネブレア : ………気絶してるし
[メイン2] テネブレア : そっと、セナの上に手を乗せて。
[メイン2] テネブレア : 彼女の、奪われた体力も回復させる。
[メイン2] テネブレア : 「……………………はぁ、帰ろ。」
[メイン2] テネブレア : 「……ばいばい。」
[メイン2] テネブレア : 「…………………セナちゃん」
[メイン2] : 瞬時に幻影の王は、その場から消え去る。
[メイン2] :
[メイン2] :
[メイン2] :
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[メイン] :
[メイン] : 「───そして "時は動き出す" 」
[メイン]
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ジョジョの奇妙な冒険
戦闘卓流 完